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2006.6.22 |
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Microsoft Robotics Studioの登場に想う…やはり来たか。Web型の開発プラットフォーム、「Microsoft Robotics Studio」が登場した。(1) Pittsburghで開催されているRoboBusiness 2006(2)で発表されたのである。 これを使えば、センサーとサーボモーター制御が簡単にできる。しかも3次元でのシミュレートもできるらしい。チョット知識があれば、ロボット製作ができる状態になったということである。 Microsoft内で、正式にプロジェクトが立ち上がったのは、2005年初頭だという。結構、最近のことだ。 “ビルゲイツが「始めるなら今だ」と決断した理由のひとつは,研究用の高価なプロトタイプではなく,キットとして市販されている$1,000のロボットが歩いたり逆立ちするところをみた印象も大きかったようです.この辺の感覚は,Popular ElectronicsでAltair 8800を知ってBASICを実装しようと考えた感性に通ずるものを感じます.”(3) ほほう〜。 Microsoftは押しも押されぬ大企業になってしまったが、パソコン黎明期の息吹は、今も組織内で生きているようである。 日本でのパソコン黎明期とは、NECが、ボードマイコンをマニアに販売した頃である。米国の状況から数年遅れだった。今となれば、玩具のようなものでしかないが、現在のノートパソコン程度のコンピュータは数億円もしており、巨大な空調室のなかで鎮座していた時代である。 そして、忘れてはならないのは、NECのPC-9800に繋げたのは、このマイコンだったという点。しかも、それはコンピュータの部隊ではなく、半導体の部隊が立ち上げたのである。 そんな状況を理解していた巨人IBMは、自社のコンピュータ部隊でパソコン事業を立ち上げたりしなかった。外部の力を借りた。OSはCPMという流れが強かったが、Microsoftを選んだのである。 ロボットは、パソコンとは違うとはいえ、ここまでロボット開発が騒がしくなってきた。ここまで来れば、Microsoftが傍観している訳はない。 順当というより、チョット遅い感じがする位である。 ロボットというと、日本では二足歩行ばかりに目がいくが、基本的には機械的な動きをどうコントロールするかというプログラミングの話でしかない。 そんな話をすると、産業用ロボットと一緒にする人がいるが、それはコンピュターを一纏めに考える雑な見方と言えよう。 日本企業がロボットで優位と言っても、それは工作機械の分野の話。 そこで第一人者の地位を占めることができたのは、プログラミングの標準を握ったからに他ならない。しかし、ここで培われた技術力がこれからのロボットにも活かせるとは思えない。 NECとIBMでパソコンを立ち上げたのは、非コンピュータ部隊だったことを想起すべきである。 パソコンと従来のコンピュータは全く違う。 パソコンは、出力処理のウエイトが極端に多い割りに、データ蓄積機能は弱小なのだ。要素技術は似ていても、技術の体系は違うのである。 ロポットも同じことが言える。 工作機器の動きと、二足歩行ロボットの動きを、複雑度で見れば、その違いは歴然。前者の常識が後者で通用する筈がない。 従って、動きの複雑性では群を抜く、二足歩行ロボットでのソフト開発はこれかなの技術展開の鍵を握ることになる。新しい技術体系を探る動きと言ってもよいだろう。 複雑な動きを、どんな言語でどう記述すべきか。そして、どんなアルゴリズムがあり得るのかが、二足歩行ロボット開発で見えてくるのである。 本来なら、このような動きに向いたCPUやOSがでてくるのが望ましい。しかし、そんなものの登場を待ってはいられないのが、現実である。 入手可能なチップとOSを使ってソフト開発が進む。このコミュニティのなかで、自然と標準が決まっていくことになる。 そんな流れを考えると、ROBO-ONEがこうしたトレンドを決めるイベント化する可能性は高い。 --- 参照 --- (1) http://msdn.microsoft.com/robotics/ [プレスリリース] http://www.microsoft.com/presspass/press/2006/jun06/06-20MSRoboticsStudioPR.mspx (2) http://www.robobusiness2006.com/ (3) 楠正憲氏(Deputy CTO, MSKK)個人のブログ「Innovative Things 先端技術と戯れる日々」[2006.6.20] http://mkusunok.spaces.msn.com/blog/ (4) http://www.robo-one.com/what/what.html 新しいロボットの目次へ トップ頁へ>>> |
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