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1999
 
 


競争力が高い日本の製造業とは極く一部ではないのか…

 日本の製造業は「モノつくり」では群を抜いており、産業競争力では圧倒的だという意見が多い。しかし、欧米と生産性を比較した限り、日本が優位と断言できそうなものは自動車産業位で、劣位にありそうな産業の方が多いというデータがある。本当に強いなら、生産性で優位に立てる筈なのだから、ここらでじっくり反省する必要があるのではないか。

 円高効果で給与レベルが高くなったから競争力が落ちてきたという話しではない。現時点でも、同一キャリアで比較すれば日本の方が人件費が高い、という確たる証拠はない。本質的な低生産性の問題なのである。

 ここでいう、生産性とは投入したマンパワーと資金によりどの程度のアウトプットが得られたのかを計算したものである。データで見る限り、自動車業界と化学業界を除けば、同じ製品を生み出すのに、日本の製造業の方が米国より非効率的である可能性が高い。

 これは、日本は強いと主張される方々にとっては、おかしなデータに映るかもしれない。しかし、研究開発分野のマネジメント層の実感とは一致するところも多い。同じ業界の海外企業の研究所では100名たらずでも目立つような成果が次々と生まれているにもかかわらず、1000名を擁する日本の研究所からは微々たる成果しか得られない、という例も聞かれる。
 そもそも、モノ作りが優れているといっても、実態は下請け孫請けの力を借りて作るのだが、その開発過程では膨大な時間が費やされている。アウトプットは確かに素晴らしいが、産業全体で見ると効率的とは言えないのではないか。しかも、同じような開発を、何社もが手がけていたりする。

 生産性が悪いとしたら、その原因はこのような研究開発の仕組みにあるのではないか。


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