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2000.6.8 |
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デジタルTVはどうなるのか…デジタルTV市場創出を目指し、多くの企業が全力投球している。しかし、研究開発に携わる人達に、個人ベースで非公式な意見を伺うと、「市場は確実に開ける」との回答をもらえないこともある。無理はない。衛星放送受信者数は伸びたにもかかわらず、ハイビジョン化があまり進まなかったからだ。 99年段階での実利用者数はわからないが、(社)日本電子機械工業会調べでは、ハイビジョン・テレビ出荷台数累計(2000年4月末現在)は839,000台だという。この他にM-Nコンバータでハイビジョン番組が見られるテレビが2,058,000台あるそうだ。 99年のハイビジョン機器市場は20万台を下回るのではないか。メーカー1社の売上からいえば、数十億円の可能性が高い。将来に向けての研究開発費ばかり嵩む、極めて困難な事業だったといえよう。ハイビジョン研究開発投資はペイしなかった。 産業振興のために、大きな予想を出すことは極く普通のこととはいえ、見通しとのギャップはあまりに大きい。ちなみに、代表的予測(1991年6月)では、1995年が200億円、2000年は3000億円、2010年に3兆円だ。「社会構造の変化に伴うAV(音響・映像)機器新製品開発の方向性と将来展望」でも2000年には巨大市場出現というシナリオが描かれている。 もっとも、ハイビジョン化は進まなかったが、大画面化とフラット化の進行でTV市場は堅調だった。しかし、すでに価格も崩れ始めており新収益源が必要になっている。 2000年からのデジタル放送に期待するしかないのが現実だ。---従来のハイビジョンとは全く違う技術であるから、研究開発者も簡単に転用できかねる。研究開発投資も大きい。デジタルTV市場が立ちあがってくれないと、台所事情が許してくれまい。 期待に応えて市場は開けるだろうか。 視聴者の立場から見れば、ハイビジョンとデジタルTVは同じ衛星放送だ。放送内容が大きく変わるという訴求力も弱い。素直に考えれば、購入が突然増える根拠は薄い。 極く常識的に考えれば、美しい映像を見るだけで、高額支出には踏み切らないということではないのか。インターネット接続をウリにしたところで、パソコン所有者の興味を引くこともなかろう。 数万円の接続機器を提供できないなら、魅力的な新機能や見たくなるデジタル番組を生み出す仕組みを急いで作らないと、日本のTV産業は衰退するのではないか。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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