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2000.6.28 |
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アジアはライフサイエンスでも挑戦開始…アジア諸国はエレクトロニクス分野では急成長できたが、他のハイテク分野は無理だいう声を聞く。理由もなく、アジアの国力を軽視する人が多いようだ。シンガポール政府の施策を見れば、そのような発言などできまい。シンガポールのEDBの目標の1つが、アジアのライフサイエンスの中心になることだ。2010年までに世界のリーダー15社を誘致する計画である。 これは、掛け声だけの「計画」ではなく、着々と進行中だ。現実に、このセクターは年率2桁で成長しており、21世紀初頭はこのままの勢いで伸びると予想されている。 すでに製薬産業は、99年度産出額からいって、経済を支える柱のひとつになっている。日本の化学企業による抗生物質中間体の生産は古くから有名だが、欧米の大手製薬企業による大型品向バルク製造が次々と始まった。製造コストは日本の7〜8割と推定される。高品質が保証できて、このコストでは、日本国内立地の工場ではとても太刀打ちできまい。いまのところ、こうした優位性を活用した、発酵や精密化学による原体製造事業が多いが、早くこのレベルから脱皮し、より高度な知識ベースの事業分野にシフトしていこうという意志がみえる。 「2010年までに」とはなっているが、この構想は遠い将来に実現するという悠長なものではない。すでに、2000年初頭、かなりが現実化している。 160ヘクタールあるというファルマ・パークも用意されているし、欧米の大手製薬企業も次々とシンガポールに拠点を置きつつある。大手企業の参加により、臨床治験の仕組みも完備されてきた。アジア地域の拠点という位置付けは確立されつつあるといえよう。 医療用具分野でも世界のリーダー企業がアジア市場をにらんで、シンガポールでR&D部隊を編成した。欧米輸出が中心ではあるが、すでに産業として認知される状況に到達している。 勿論、バイオ分野にも、注力している。仏のゲノミクス企業との合弁でDNAオリゴヌクレオチドの合成が始まっているし、米国のバイオ研究機器メーカーも研究・生産の拠点化を進めている。 歴史からいって、ライフサイエンス産業の基盤があるとは思えない。それでも、的確な施策によっては、ここまで産業を伸ばせる、という見本だ。技術基盤も大きな市場もありながら、成長のチャンスを活かせない国があるのが不思議に思えてくる。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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