↑ トップ頁へ |
2000.7.15 |
|
|
ワイドTVを普及させる戦略でよいのか…「期待のBSデジタル放送」という文字をたびたび目にする。しかし、視聴者が何を期待しているのかは、記載されていない。にもかかわらず、急速に普及するという予測だけが語られている。計画によれば、NHKのBS-1とBS-2がデジタル放送化される。これに加えて、新チャンネルが始まる。といっても、NHKの場合、今までに比べて、格段の新機軸があるようには見えない。現在放映されているニュース映像がハイビジョンになることが一番のウリのようだ。あとは、人気番組の、スポーツ、エンタテインメント、等が高品質映像になるということだろう。一方、民放は積極果敢な展開をすすめているようだが、CSと同じような番組作りに見える。視聴者にとっては、CSと異なり、無料という点が違うだけかもしれない。 もちろん、NHK始め、放送側は、データ放送提供をもう1つの柱にしている。リモコンボタンを押すと様々な情報が得られる仕組みをつくるという。しかし、具体的な中身に関する情報は少ない。格段に魅力的なものができるという話もきかない。 この状況で、デジタルTVの発売が始まる。 予想されていたことだが、極めて高額な機器である。2000年9月上市予定の、チューナー内蔵型テレビの標準価格はどうにか50万円を切ったというレベル。(松下電器産業、東芝の発表モデル)この価格では、デジタルTVが一挙に普及するとは考えにくいのではないか。 ということは、当面、機器メーカーは、ワイドTV(従来より横幅が3分の1広い)に傾注するしかあるまい。D端子付きのワイドTVへの買い替え促進策を進めることになろう。 D端子付きTVの開発だけなら、先端デジタル技術は必要ない。パソコンとほとんど変わらないチューナー部分とは異なり、今までのアナログTV技術でも対応できる。今のところ、D3端子付き28インチで実売価格が10万円台だから、チューナーを入れれば、20万円台でデジタル放送を受信できそうだ。しかも、今までのTV開発のスキルが活かせるから、ワイドTVは低価格化し易い。 但し、D端子といいっても、D1では従来TVと同じ映像品質だ。D3以上がデジタル放送対応である。 ところが、D3やD4端子はついているが、1080の走査線に対応していないディスプレーもある。通常TV並みの480に落として表示するのだ。これでは高品質映像にはならない。この画素数では細かな文字表現は無理だから、情報読取用途にも向かない。 こうなると、デジタル放送といっても、通常放送のチャンネル増の意味しかないのである。 ワイドTV化の動きだけが進むと、デジタル化の利点を生かす仕掛けは搭載されなくなる可能性が高い。余計な機能を省いた方が安価になり、売り易くなるからだ。 もしも、そのような動きが進めば、せっかくデジタル放送を始めても、家庭のデジタル化は遠のく。これでは、TVは家庭内ネットワークの中心にはなれまい。 ---参考表---
侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |