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2000.9.15
 
 


権力者専用車製造メーカーの危機…

  モータージャーナリスト、徳大寺有恒氏の著書「2000年版 間違いだらけのクルマ選び -全車種徹底批評-」(草思社、1999年12月)には、ある日本メーカー製超大型乗用車への、痛烈な批判が記載されている。以下に示すのは断片的な引用である。(同書116頁)

 「かつてスターリン時代のソ連では、・・・」、「共産党の幹部の専用車で、彼らが人民大衆に向かって、その権勢を誇示するためのクルマ」を作った。「一部の権力者のために作られるクルマというのは、どこか似た奇形さを持っている。」・・・
 「こうしたバカバカしいクルマを作る」会社は「自動車会社として歪んでいる。そもそも一企業グループのために自動車をひとつ起すなど、思いあがりにもほどがある。」---というもの。

 この車は、同社グループ企業のトップ経営者が用いる車である。自社グループのマークをつけた超大型車に乗り、権力者であることを認知させたい人達の存在を看破した発言である。

 このような権力者におもねる仕組みを持つ体制は、簡単に崩れることがない、というのが歴史の教訓だ。ソ連の恐怖政治は典型だった。
 内部批判者は抹消される。外部の批判者への攻撃も、巧妙な形で徹底的に行う。外部から壊そうという動きは逆効果で、益々体制が強化される。
 こうした体制の変化は、内部からの自浄しかありえない。

 内部技術者が、匿名ではあるものの、変革のために、社内の汚点を外部にリークしたのは、この観点から見れば、まさに画期的な動きと言えよう。こうした研究者・エンジニアの「変革の動き」に期待する人は多い。世界に冠たる技術を開発できる力量があっても、特異な体制のため、結局は朽ち果てていくのでは、余りにむなしすぎる。


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