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2000.11.20 |
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レンズ磨きの賞賛はやめて欲しい…技術系オピニオン・リーダーが、相変わらず職人芸を賞賛している。ステッパー(半導体回路図面を縮小投影する光露光装置)を例にとり、日本の半導体製造装置の強さについて語っているそうだ。日本の2大カメラメーカーが世界の市場を席巻できたのは、抜群の光学性能を発揮できる職人のレンズ磨きがあったからだ、との実例を指摘するという。この指摘は間違いではないが、こうした「良き時代」は過去のものだ。過去の成功が未だに通用すると考えるなら、間違いなく日本企業の技術力の弱体化が進む。 現実を語ろう。---日本のステッパーメーカーは市場席巻どころか、将来の危機がひたひたと迫っている。 技術ロードマップ予測通り、エキシマレーザー投入が始まった。従来の「光学」は限界に近づく。こうなると、もはや職人の腕や勘は活用できまい。 企業の優秀な研究者・エンジニアが簡単に対応できない先端領域に入る。科学者達の力は不可欠だ。ところが、日本の科学者がこうした産業界の仕事をしているとの話しは聞こえてこないし、半導体研究組合は「科学」領域を対象外にしているようだ。ということは、日本には、まともな基礎データさえ無いかもしれない。周囲からの支援が期待できない状況で、カメラの光学技術から「科学」に近い先端技術で戦える体制をつくれるであろうか? 日本のステッパーメーカーの弱体化は避けられまい。 弱体化ならまだしも、従来のガラスレンズが使えなくなれば、日本メーカーは競争参加すらできないかもしれない。新レンズ用材料開発の先進国は米国である。 日本のステッパーメーカーがこのことに気付かない訳はない。しかし、企業努力で対処可能な範囲を越え始めた。 米国は、「科学」の支援体制が確立しているし、新材料開発も進んでいる。日本企業の将来に暗雲が立ち込めているのだ。 実は、それだけではない。日本製ステッパーは単品光学機器だから、製造システム全体の革新ができかねる、と語るユーザーがいる。産業全体の技術体系が変わり、システム商品が主流となり、職人的芸術品の魅力は急速にうすれてきたのだ。 すでに勝負はついている、との悲観論者も少なくない。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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