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2001.9.6
 
 


H-IIAは顧客をとれるのか?…

 背水の陣の姿勢で新型ロケットH-IIAが打上げられた、との報道をそこここで目にする。突然、日本の技術賞賛の声があがった。なかには、日本の宇宙ビジネスがこれから華やかに展開すると誤解を与えそうな解説まで登場している。
 政治の指導者も賛辞を送った。
 世界に冠たるロケットエンジンが成功した栄誉を称えるのは結構だが、宇宙ビジネスをどうするつもりか真面目に考えて欲しい。
 飛んだのは良いが、H-IIAの成果をどう活かすつもりなのだろう。
 国産ロケット開発の理由は、衛星打上ビジネスの追求ではないのだろうか。新型ロケット開発に膨大な投資をしたのだから、回収する方策を示すべきだ。

 そもそもスタート時点から、競争力に疑問があるビジネスである。米、欧、ロシア、中国は年に何本も打ち上げているのに対して、日本は年1〜2本だ。どこも、軍事用途が産業を支えている。その上、外貨獲得の目的で強烈なダンピングで受注に走る国もある。明らかに競争が激しい市場に乗り込んだのである。
 ということは、常識で考えれば、国内用衛星は国産ロケット使用という縛りは必須条件だろう。ところが、貿易問題でできないのだ。この状態で、この先、顧客を獲得できるだろうか?

 収益見込み薄なら、民間企業であれば、知的財産を売り事業から撤退するか、他社の傘下で活動を続けるのではないだろうか。


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