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2001.9.6
 
 


単純なインフラ構築論は危険…

 インターネット網が完備しているかで国の力が決まってくると力説する人が多い。まさに、その通りだろう。
 しかし、インターネット網を急いで構築すれば国が発展するとはいえまい。ところが、このような主張をすると、反インターネット派とされかねない。そのため、単純なインフラ構築論が幅を利かせている。

 設備投資が増えれば、不況が緩和されるから、ここぞとばかり、インターネット網構築を強調する気持ちはわかるが、間違った方向に進めば投資は無駄になる。もしかすると、マイナス効果になるかもしれないのだ。単純なインフラ構築推進論には十分注意すべきである。

 インターネットを歴史上の鉄道の役割と同じ様に説明する人が多いので、鉄道で説明しよう。
 欧州は鉄道敷設で大発展を遂げたことが良く知られている。しかし、英国は大成功したが、スペインはうまくいかなかった。鉄道は敷設されても、利用されなかったのである。商品が運び易くなることで、経済が発展するよう、全体を考えた施策を打たなかったため、スペインでは鉄道が経済を牽引できなかったのである。スペインは鉄道だけに大規模に投資し、鉄道を利用する産業を飛躍させるために必要な投資にお金を回さなかった。漠然と、利用されると考えていただけで的確な政策も出されなかった。方向は決して間違いではなかったが、その後の経済発展余力は大きく差がついた。

 重要なのは、使う人を想定しながら、インフラを構築する態度だ。鉄道で経済を成長させたのは、利用方法を考えながら進めた国々である。勿論、欧州だけではない。農産物輸出で急発展したアルゼンチンは典型例といえよう。単純に鉄道敷設を急ぐのではなく、鉄道を活用しやすい柔軟な仕組みを作ったのである。
 但し、米国だけは、企業家が一気に鉄道を引いて大成功を遂げた。例外である。この成功モデルが日本で成り立つとは思えない。


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