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2001.12.1
 
 


大型開発プロジェクトは談合主導…

 談合といえば土建業界というイメージが確立してしまった。
 しかし、談合は土建業界特有の現象とはいえまい。他の業界でも、多かれ少なかれ、同様の例はある。日本社会に根ざす文化ではないかと思われる位、日本のいたる所で談合は行われている。

 科学技術者は理知的だから談合はしまい、と楽観視する人もいるようだが、日本社会の一部なのであるから例外の筈がない。注目する人がいないから、目立たないだけのことだと思う。
 この分野での談合は、土建業界以上に悪影響を与えているのだが、注目されないのが残念だ。というのは、大型開発プロジェクトの成果がでにくい一因は、どうみても談合体質と考えられるからだ。

 大型開発プロジェクトの全体統括者が決まるまでは競争はある。しかし、統括者が決定した後が問題なのだ。統括者がリーダーシップを発揮するのでなく、調整役になって、「談合」で開発計画を進めているように見える。
 昨日の敵は今日の友で、競争相手にも仕事を回すようだ。

 このことは、誰がどの部分を担当するかという、プロジェクトの大枠が最初から決まっていることを意味する。当然、新機軸の提案や、甲論乙駁の議論は稀だ。それぞれの担当者は問題が発生しないよう、統括者の指定に合わせて、できるかぎり自分が慣れているやり方でこなす。
 このような姿勢で開発プロジェクトを進めていたのでは、技術の進歩は限定的だ。本来は、それぞれの担当者から創意工夫に基づいた様々な提案がなされ、統括者が全体調整を図ることで、アウトプットの質が格段に向上するものだ。
 ところが、このような息吹が全く感じられない大型開発プロジェクトが多いのである。


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