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2002.4.7
 
 


プロジェクトX賛美主義者の本質…

 良き時代を振り返り、ノスタルジアに耽りたい人が増えている。NHKテレビで放映中のプロジェクトXへの賛美が目立つ。
 テレビは視聴率を意識するから、番組には、多かれ少なかれメーキャップ部分がある。このため、通常は、視聴者は番組の主張を鵜呑みにはしない。ところが、プロジェクトXは、そのまま受け入れられている。知的頽廃が進んでいるといえよう。

 ことは深刻である。日本の産業を牽引している技術マネジメント層がこの番組を絶賛しているからだ。このことは、産業界の指導層に、90年代低迷の反省がないことを示す。膨大な数の優秀なエンジニアに日々頑張らせて、戦略性を欠くマネジメントを続け、競争力低下を導いたとは考えていない。技術マネジメント力の欠如を隠蔽できるから、技術屋が頑張れば未来は拓けるとの主張を大歓迎する訳だ。
 なかでも支持が高いのは以下の番組である。

 ● 事故にもめげず完遂した黒部ダムや深海潜航艇・・・職人魂を発揮し、無理と思われた難関を突破したという話。先を読む、リスク対処のマネジメントなどなくても、集団の気力さえあれば解決できる好例。
 ● 世界に冠たる技術を駆使した、本州四国連絡橋や東京湾横断道路・・・技術屋はその目的がなんであれ、世界初の快挙を目指せばよいという話。収益性が見込めないプロジェクトであっても、世界最高の技術なら、ヒト・モノ・カネを集めて突進してかまわない好例。
 ● プロジェクト廃止決定にもかかわらず、隠れて続行することにより成功した大ヒット商品・・・マネジメントの仕組みが劣悪なのに、逆に、その劣悪性を賛美する好例。隠れテーマなど、世の中に無数にあるが成功は稀である。例外を一般化する論理が特に好評だ。イノベーティブな企業は、他社が考えそうにないテーマを承認する。一方、番組でとりあげた企業は全く逆だ。生き延びが難しそうな事業をそのまま放置する。ハイリスクな挑戦も許さない。しかし、誰かが頑張って解決してくれるのだ。


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