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2002.5.4
 
 


不合理なローリスク・ハイリターンの仕組み…

 新産業創出の息吹が全く感じられない、との声が強まっている。このため、政府はベンチャーファンド強化やベンチャー支援策を展開し、企業は成果に応じたインセンティブ制度を導入した。挑戦する人を厚遇する社会をつくろうという動きである。
 しかし、他国の成功を真似た仕組みを導入したからといって、同じ効果が得られるとは限るまい。

 実際、大企業からのスピンアウト成功例は今もってほんの僅かである。もっとも、成功者が少なくても、挑戦者が次々と登場しているなら、今後に期待できる。しかし、そのような状況には程遠いのが現実だ。

 実は、これは極く自然な結果である。
 大企業と零細企業間の待遇差は公知の事実だからである。大企業では雇用安定・高給与水準が実現されている。一方、極く普通の零細企業では、企業の存立基盤自体が不安定だ。政府の中小企業対策(実質は政府の援助金)でどうやら生きぬいている企業も多い。とても飛躍どころではない。もちろん給与水準も低い。
 零細企業で働くのは、明かにハイリスク・ローリターンだ。これに対し、大企業で働けばローリスク・ハイリターンである。ローリスク・ハイリターンを捨て、ハイリスク・ローリターンを狙う人などめったにいない。

 ベンチャー型挑戦を鼓舞する掛け声だけは勇ましいが、ローリスク・ハイリターン型制度が続く限り、ハイリスクに賭ける人は特殊例に留まろう。


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