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2002.12.24
 
 


製薬業界の構造改革…

 医薬品産業が研究開発主導であることは言うまでもないが、経営実態からいえば、それ以外にもかなりの資源投下を図らざるを得ない規制が続いてきた。
 ここにきて、ようやく、動きがあった。2002年7月の改正薬事法成立である。

 この法律は、薬害教訓を踏まえた承認審査体制の充実がメインであるが、「開発」と「製造」の一体化義務の撤廃も行った。下請けで完成品をつくれるように変わったのである。
 従来は、医薬品承認と製造許可はワンパケージになっており、自工場でなければ製品の製造ができなかった。
 日本政府は、ベンチャー創出促進といいながら、製造部門を持てない企業には承認を与えない体制をずっと続けてきたのである。今から「構造改革」を始めるのだ。

 この改正によって、2005年度から、柔軟なビジネス構造をとれるようになる。

 ハイリスクな新薬開発で飛躍を狙う企業は、高コスト体質の製造部門を切り離し、委託生産を進めることができる。研究開発投資が増えるのであるから、資本効率を考えれば、当然の動きである。
 一方、ローリスクに徹したい企業は、生産機能に徹することができる。販売後の情報収集/統計解析が不可欠な販売部門を切り離せば、超高品質・ローコストの製造特化型企業に変身できる。
 このような大胆な動きが短期間で本格化すれば、日本の製薬産業は「知恵を生かせる」産業に変身することができる。どの企業も、ほとんど同じレベルの機能を揃えて、同質の競争をする産業から、ようやく脱する扉が開かれたといえよう。

 ITや機械産業の教訓では、このように機能分担可能な産業構造は、技術革新が起こりやすい。柔軟な対応が可能なので、新しい取り組みの成功確率が高くなるのだ。
 こうした産業構造のなかで、上流から下流まで統合している企業は、一部の弱体な社内機能に足を引っ張られるし、外部の新潮流取り込みに遅れがちになる。大企業も没落しかねない熾烈な競争環境ができあがる。この緊張が、イノベーションを引き起こす。

 従って、研究開発型企業を目指す方針なら、率先して改革に突き進むしかあるまい。業界横並び体制を守れば、衰退しかない。先送りを特徴とする企業に試練が訪れたのである。

 一方、中堅企業は生き残りを賭けて、変身準備中だ。徹底的なローコスト生産体制の準備に余念がない。受託生産による、業容拡大を狙う企業も増えている。
 特に、日本ではジェネリック市場が伸びていないから、メーカーの動きは活発である。[医薬品工業協議会によれば、日本のジェネリック市場は低迷](http://www.epma.gr.jp/generic%20something.htm)(代表的ジェネリックメーカー:日本医薬品工業、共和薬品工業、大洋薬品工業、沢井製薬、東和薬品、菱山製薬、長生堂製薬)


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