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2003.2.21 |
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Technology記事の役割…2003年2月11日、次世代光源についてまとめた記事がNYTimesに掲載された。(http://www.nytimes.com/2003/02/11/technology/11LIGH.html)Technology面の記事だが、科学技術の内容解説ではない。長寿命で省エネルギー、突然断線ということもなくなるといった、一般的メリットの解説ではなく、企業が次世代光源ビジネスをどのように拓こうとしているかを示した長文の記事だ。 先ずは、次世代光源のビジネス勃興例を示している。その上で、こうした応用を進めているベンチャーの動きや、フィリップスやアジレントといった大企業の対応状況を、明らかにしている。 後半の記事では、価格が40倍から100倍するので、一般光源としての浸透は簡単でないことが示唆されており、2007年には、このバリアを突破できるという産業振興協会の技術見通しも引用されている。 しかし、そのような見方を伝えるための情報提供記事ではない。 様々な参入者がいて、将来をどのように見ているのか、そして、全体として、どの方向に動いていそうか、を筆者の視点で提起した読み物になっている。 そのため、こうした情報をどう解釈するかは、読者の好き好き、というトーンが自然に伝わってくる。日本では稀な記載方法だが、米国の記事では極く普通といえる。 こうなるのは、日米で読者のスタンスが大きく違うからではなかろうか。 米国の読者は、ビジネスチャンスに賭ける人々の息吹を知りたがっている。様々なプレーヤーが、独自のビジョンで挑戦している状況を知ることで、新産業勃興感を得たいのだ。それが、新たな投資を呼びこむことに繋がる。 現行の産業の対応や、技術の細かい状況を知ったところで、新産業を切り拓く可能性が読めるとも思えないから、投資家的発想に立てば当然の姿勢である。 これに対して、日本の読者は、産業界のリーダーや政府が、どのように考えており、今後どう動くかを知りたがる。本当に重要な技術なら、国家的な規模で動く筈だから、そのような流れが始まりそうか、何時も気になるのである。 誤解を恐れず言えば、読者は、技術のインパクトやビジネスチャンスそのものを知りたい訳ではない。既存の仕組みを動かしている人達が何をしようとしているか、知りたいのである。 一般に、このような情報は、情報源側にリークする気がない限り、簡単に手に入るものではない。 従って、スクープ記事は、なんらかの目的でリリースされた情報を加工しただけのものが大半だ。一方、全体がよくまとまっている記事は、政府や工業会が動き易くなるような情報を簡潔にまとめたものといってよい。 要するに、技術関連記事とは、体裁は独自取材だが、産業界のスポークスマンとして代弁しているに過ぎない。正式発表前のノンオフィシャル情報を伝えるという意味では便利なものだが、それ以上の役割は期待できない。 しかし、日本の読者にとっては、こうした情報が重要なのである。バスに乗り遅れないように、記事を読むのだ。 70年代の技術マネジメント体質が染みついており、しかも、それを問題とも感じないのである。 この状況が続く限り、新産業は生まれにくい。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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