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2003.3.6 |
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松下電器産業の復活見込み…日本企業の底力が本当にあるかを見るなら、松下電器産業が収益力を回復し、成長路線に復帰できるか検討するのがベストといえよう。同社は、「破壊」から「創造」と語り、構造改革を進めてきた。2001年度までに、雇用、本社構造、R&DD、家電流通のすべてに手をつけ、拠点の統廃合も行った。部分最適型の事業運営から、全体最適を測る仕組みも取り入れたから、2002年度にようやく「普通の企業」の体裁が揃ったことになる。 無駄な部分を切れば、どの程度の業績になるかがわかる訳だ。 2003年2月20日の連結ベースの通期予想によれば、売上高7兆3000億円、税引前利益が960億円だ。単独で見れば、経常利益は780億円だ。前期はマイナス424.8億円であるから、V字型回復、といえよう。(http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn030220-4/jn030220-4.html) これをどう見るかだ。 一般に言えば、経常利益が1000億円レベルに達しないと、世界に伍した競争は無理ではないだろうか。780億円は微妙なレベルだ。これを復活過程と考えるか、この程度が限度と見なすか、で将来性の見方がわかれよう。 もし、経常利益780億円程度が実力とすれば、将来は暗い。 技術も市場も変化は激しいから、縮小再生産に進みかねないからだ。 従って、2003年度からどのように経営を進めようとしているのかが、将来の鍵を握ることになる。 2003年1月10日に発表された「2003年度経営方針」によれば、次期戦略商品(V商品)として90品目を選定し、2003年度の売上目標をは1兆2000億円に設定したという。そして、差別化のための「ブラックボックス」技術創造を加速し、技術の絞り込みを進めるそうだ。(http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn030110-4/jn030110-4.html) このことは、現在の単独売上約4兆円のうち、3割以下の事業しか「正味」が無いと考えることができる。ここから経常利益1000億円が捻出できるかが、課題だ。 次期戦略商品の核は、DVDレコーダーとPDPである。テレビやビデオように波に乗れれば、一挙に復活できる考え方といえる。ラインアップ強化→コスト力強化→占有率向上→増産という好循環で収益力向上を図るつもりらしい。 しかし、世界市場でのシェア目標は、DVDレコーダーが50%、PDPが30%と極めて高い。ローエンドでも競争力が発揮する目論みだ。 この根拠は何だろう。 ビデオデッキでさえ、ローエンドでの競争力は弱体化していた。例えば、船井との力の差は歴然である。中国生産も、全体最適とは縁遠い体制だ。他社より優位な点があるとはいえまい。 このような状態で奏効の可能性ある戦略とは、究極的なICワンチップ化だけだろう。 しかし、そうした戦略が成り立つだろうか。松下電器産業がICワンチップ化技術に格段に優れているとは言い難い。しかも、最近の失敗は、体制上の問題を抱えていると思われる。 典型は、デジタルTV用ICだ。どちらかといえば腕力にものを言わせて実現したといえる。しかし、膨大な開発投資にもかかわらず、市場が開けず投資回収ができる兆しはない。 ケータイでの失地も同様な体質からきている。半導体で優位性でを誇っていたが、カメラ付きの登場で一挙に低迷に追いやられた。 ワンチップ化とは、半導体設計と製品コンセプトの融合である。物理的に現在の複数のチップを1つにまとめる作業ではない。ワンチップ化で市場を席巻するためには、柔軟な開発体制とコンセプトに合わせた市場導入戦略が不可欠なのだ。 少なくとも、過去を見る限り、このような発想は感じられない。 従って、今後も同じ失敗が繰り返される危険性は極めて高い。 いまや、ファブレス型の半導体開発企業は様々な技術を持っている。時代の流れを考えれば、これらの企業を利用するオープンな仕組みの方が、イノベーションをとり入れ易い。 松下の動きは、逆なのだ。 こうした状況を見ると、次期戦略商品で飛躍する道は不確実と考えざるを得まい。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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