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2003.4.2
 
 


お役所仕事…

 「お役所仕事」という言葉は、どの国にも必ずもある。融通がきかず、無駄な手続きを延々と重ねる体質への怒りは万国共通だ。しかし、ルールから外れた動きを許す訳にはいかない。従って、避けられない問題であることは間違いない。問題は、その酷さ加減である。

 厚生労働省の「お役所仕事」はどうだろう。

 ホームページのトップに「緊急情報」が掲載されている。
・・・東南アジア等で流行している「重症急性呼吸器症候群」関連情報(03.04.02更新)・・・(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1.html)
 このページを閲覧すると驚く。
 古い情報が平然と記載されており、なんの危機感も感じられない文章が並ぶ。

 「200名以上の患者と少なくとも4名の死亡者が発生しています(3月19日現在 WHO)」
 「我が国では現在までに発生報告はありません。」
 「流行が起きている地域から、帰国された方で、疑わしい症状を有する方は、早急に医療機関にご相談下さい。」

 新聞報道によれば、厚生労働省は明日、香港/広東地区への旅行自粛勧告を出す予定だそうだ。

 これは、「お役所仕事」で片付く問題ではない。機能不全である。

 WHOは4月2日付けで、香港地区で罹患が広がっていると指摘しており、この地区への旅行を避けるよう、プレスリリースを出している。患者数も1153名で、死者は40名だ。
 しかも、状況は流動的だから、日々、報告を出すと発表している。・・・すでに、アップデート19号が発表されている。 (http://www.who.int/csr/sarsarchive/2003_04_02a/en/ http://www.who.int/csr/sarsarchive/2003_02_02b/en/)

 WHOもお役所だが、緊急事態が発生すれば、必死の活動を始める。責任感があれば、当然の動きだ。

 日本の役人は正反対だ。責任感が全く感じられない。WHOからの情報に対応した「証拠」さえ残せば十分なのである。

 WHOからの情報を受け、政府としてどうすべきか、専門家の委員会を開催し、意見集約後、鳩首会談を繰り返すのだろう。そして、十分時間をかけ、問題が起きないよう、どのような文面で発表するか徹底的に検討する訳だ。

 これ程まで「お役所仕事」を追求する組織は、異常としか言いようがない。


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