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2003.5.19 |
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大企業の雇用方針は変わらない…生命保険文化センターが3年ごとに実施している「企業の福利厚生制度に関する調査」の最新版が2003年5月に発表された。(http://www.jili.or.jp/pdf/h15fukuri.pdf 下表はこの報告の表現を変えて引用)
昔なら、こうした数字を見て、経営不安定な零細企業は、採用が難しいから、できる限り長期雇用を望むと解釈したと思う。今はこうした見方が成り立たない。経営不安定なのは大企業も同じだからである。 それでは、どう見たらよいか。 おそらく、大半の大企業は、非正規従業員を雇用調節の役割と考えているのだろう。安定的に雇用したくないのである。 一見、時代の流れに合わせた妥当な方針に見えるが、これはマネジメントが経営に自信をもてなくなっていることを示すとも言える。今後どうなるかわからないから、雇用調整弁を用意せよ、とトップが人事勤労部門に指示した可能性が高い。 この推定が正しければ、ほとんどの大企業が、人事改革を先延ばしにしていることになる。非正規従業員の増加方針は、人材流動性を図るように見えるから、先を進んでいるように見えるが、実態は、現状維持のための人事政策なのである。アウトソーシングのような抜本的な改革ではなく、とりあえずの対策に終始しているのだ。 このような対処しかできないなら、時代の波に流され、衰退していくことになろう。 中小企業は逆を行くようだ。非正規従業員も、重要な人材と考えているのである。それに応えて、従業員も、中企業では62%が「現在の勤務先に長く勤務したい」と答えている。しかし、大企業では35%にしか達していない。 「現在の勤務先では勤勉に働きたい」のギャップも大きい。81%と55%である。零細から中企業へと、企業規模が大きくなるほど、数値が漸増しているのに、大企業だけがとびぬけて低いのだ。 人材流動性を高める意義とは、ヒトを切れるメリットにある訳ではない。柔軟な雇用形態を導入して、できる限りヒトを大切に扱い、企業貢献極大化を図ることである。 日本のほとんどの大企業は、この逆を進むようだ。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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