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2003.7.18 |
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General Magicを考える…そろそろ、General Magicについて語るべき時だろう。同社は、2002年清算プロセスに入り、OnStar(General Motorsの自動車用音声指令システム)関連技術を移行させ、業務は消滅する。 (http://siliconvalley.internet.com/news/article.php/10862_1556631) General Magicといえば、Appleのグラフィック・インターフェース「QuickDraw」開発者Bill Atkinson達が、1990年に設立した企業だ。Atkinsonといえば、グラフィックソフトの原型を作ったし、HTMLのコンセプトとも言えるハイパーテキストを提唱した人だ。そのため、シリコンバレー中から絶賛を浴びて登場したと言えよう。当時のオピニオンリーダーも、エージェント技術と通信を結びつける画期的な試み(Magic Cap、Telescript)と評価していた。 要するに、PDA用OSで先端を走る企業と見なされたのである。 このため、世界の大手企業がGeneral Magicに興味を示した。 ほとんど説明を受けず、「ともかく資本参加させてくれ」との態度を示した著名な巨大企業があった、との噂が流れたほどである。 人気は博したが、長くは続かなかった。 通信の巨人AT&Tが、この技術を用いてPersonaLinkネットワークサービスを試みただけで、結局、市場は開かなかったのである。 その後、方針が変わり、音声入力システムの技術リーダーを目指した。今度は自動車産業の巨人General MotorsのOnStarに技術を使ってもらうようになった訳だが、財務的には効果がなかった。 技術の先を読むのは難しい。このような結果になったとしても、驚くことではない。 コンセプト自体は、時代の先端を走っていたから、評価が大きく間違っていたとも言えない。 しかし、この流れから、日本企業が学ぶべき点は多い。 90年代から、実務家の間では、「シリコンバレー流マーケティング」の議論が行われていた。ところが、日本企業は、そうした話しをする環境になかった。「シリコンバレー技術情報」欲しさで、全技術陣が右往左往している状態だったのである。 General Magicはそのようななかでも、象徴的な存在だった。マーケティング技法の巧みさが群を抜いていたといえる。といっても、実に簡単な原則を遵守しただけである。 ・「画期的」と誇示し続ける。 ・具体的な技術内容は、できる限り開示しない。 ・コンセプトについて、できる限り様々なコミュニティに語りかける。 ・シリコンバレーのコミュニティで部分的な技術情報が流れることは歓迎する。 ・オピニオンリーダーとは良好な関係を築く。 この結果、「この会社は凄そうだ」というイメージが確立する。そして、「技術のミステリアス感」が増長される。 この時、General Magicに関心を持つ企業が、内容がよくわからず不安だからといって、情報を徹底的に収集しても、一向に解決しない。逆に、様々な断片情報が増し、「技術のミステリアス感」が増すだけだ。しかも、業界通が大騒ぎしていれば、これは将来確実な技術と見なしかねまい。 このような、コミュニケーション戦略が採用されていることを理解していないと、判断能力が麻痺しかねない訳である。 ところで、ご存知のように、結局のところ、PDA用OSは単純な「Palm」が広がった。 こちらは、全く逆のコミュニケーション戦略をとった。実際に使ってもらい、「これは安くて確かに使える」と理解してもらったから、流行ったのである。期待を煽るのではなく、使って見ると期待以上だから、圧倒的な支持を得たのである。 この例でわかるように、どのようなコミュニケーション戦略を採用している企業なのかを考えずに、将来性判定を行うと、見誤る可能性が高いのである。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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