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2003.7.25 |
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ビジネス特許の新時代…「米国から、新たな『黒船』が襲来」ということで、日経コンピュータがビジネス・モデル特許を特集したのが1999年(9月13日号)だった。そして、まさに大騒ぎになった。古谷栄男弁理士によれば、黎明期→認知期→浸透期との時代区分でビジネス・モデル特許の進展を眺めることができるという。 ・1980年代の黎明期:いくつかの権利が成立したのみで企業の関心は薄い ・1998年頃までの認知期:話題になる特許も表れれたが、企業戦略ツールではない ・1998年以降の浸透期:プロパテント政策+インターネット普及で、企業戦略ツール化した (http://www.furutani.co.jp/office/ronbun/BusinessPatent.html) 実務家から見ると、政策展開を重視するから、以下のように改訂したくなる。 ・黎明期:プロパテント政策の確立 --1985年「国際的な知的財産権保護の改善の提言」 --1993年「米国の経済成長のための技術政策」 ・認知期:特許要件の緩和と新設カテゴリー --1994年「特許商標庁新審査基準」 ・浸透期:ビジネスモデル特許侵害訴訟の開始 --1996年「State Street Bank and Trustv.s. Signature Financial Groupの判決」 --1998年「同上 ビジネスモデル特許確定審決」 --1998年「Priceline-USP5794207、Amazon.com-USP 5960411、等々」紛争 どちらであろうと、大した問題ではないが、浸透期の次はどうなるのだろう? すでにITバブルは破裂し、出願ブームは終焉している。特許のほとんどは、株価高騰のアナウンス効果だけで、実質的には使われず終わった。今や、ドットコム企業は、ほとんどが淘汰され、残ったのは数社のみという惨状である。 しかし、このブームのお蔭で、出願特許はうずたかく積みあがったままだ。 会社は清算されても、3年半/7年半/11年半の年金を払っていれば、米国特許権は維持されている。米国ではクレーム数に応じた割増金の支払いが必要がないから、冗長極まる、訳のわからぬ特許が生き続けている。これらの知的財産価値が、本当のところどの程度あるのか、誰にもわからない状態だ。 そして、このことに目をつけた「特許マフィア」企業が、死蔵特許権を取得して、突然、権利侵害訴訟を始める可能性がある。 陳腐化しており公知と思っていたビジネスモデルに対し、突然、特許権抵触を指摘されるかもしれないのである。たまったものではないが、特許の仕組み上どうにもならない。 このようなことが発生し始めると、特許が、新しいアイデア利用を阻害することになりかねない。本末転倒である。 唯一の対策は「公正取引」の観点からの規制といえよう。ビジネス特許が下火になった時点で、特許における競争政策の明確な指針を打ちたてておかないと、禍根を残すことになろう。 すでに、プロパテント政策が、技術の進歩を後押しする時代ではなくなりつつある。 ゲノムやITソフトの分野では、質の高い技術情報を即時公開することが多い。ところが、公開された技術は自由に利用できるのか、特許侵害になるのか、判然としないことが多い。「測定装置特許は、装置を使って得た成果物には及ばない」程度の判断基準では、安心して研究開発などできまい。その一方で、特許化せず、技術をフリーに使わせる発明者も登場しているのだ。 しかも、やっかいなのは、日本の大学が特許に係わり始めた点だ。どこまでが、知的所有権にあたるのか、産業界の常識が通用しなくなる。 今や、「特許権に抵触しない」とのお墨付きを与える仕組みが求められているといえよう。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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