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2004.2.29 |
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JR九州の挑戦…鉄道マニアや業界人は、九州新幹線の2004年3月開通を楽しみに待ち望んでいるようだ。(1)すぐにでも乗ってみたいらしい。 もともと、九州で走る特急列車は、昔からマニアに人気があるという。 確かに、JR九州には、特徴ある外観の列車が揃っているようだ。 実際、JR九州の新型特急電車は3代連続でブルネル賞国際デザインコンペティションで最優秀賞受賞しており、評価は高い。(2) 九州新幹線の内装も魅力的なようだ。(3) (本来は可燃性で使えない筈の木製インテリアが登場したので、皆、驚いたようだ。) しかし、このような表彰はマニアには嬉しい話しかもしれないが、一般利用者にとっては、余り興味がない。外見より、実際に乗って快適かで、価値が決まるからだ。 その観点で、JR九州の従来型特急を見ると、優れているのは間違いあるまい。 実際に乗車した人からよく聞かされるのが、客室乗務員の跳び抜けて高品質なサービスだ。しかも、サービス基準が高いだけでなく、自律的に、新しい取り組みを考えたり、日々研鑚に励んでいるようだ。(4) しかし、なんといっても重要なのは、基本機能である。JR九州の特急列車は、その点でもしっかりしている。 特筆すべきなのは、「ゆとり」ある車内空間である。ここまでの「ゆとり」を提供している従来型特急列車は他では見かけない。 普通車は大きめの座席が2席+2席で配置され、グリーン車は2席+1席の配置で、床はカーペット敷きだ。 しかも、個人、グループ、家族といった異なるタイプの乗車要望に応える座席が提供されている。 さらに、目が届く客室内にバゲージボックスを設置している。 荷物を持っての長時間旅行での、快適性を考えた設計になっている。細かいところまで手を入れ、くつろぎの空間をつくり出していると言えよう。 乗客の視点では、極く当たり前の要望に応えただけだが、このような挑戦は未だにJR九州だけのようだ。
それが、さらにはっきりするのが、グリーン料金の設定である。 例えば、個室価格は定員数ではなく、部屋価格制だ。乗車券/グリーン券に個室料金を加える計算である。 しかも、グリーン料金自体がかなり安い。 個人旅行者のためのビジネスを追求している姿勢が鮮明である。 そもそも、「要人」のビジネス用途として、グリーン車を設定すること自体が時代錯誤だろう。 ビジネス用途路線は極く一部の例外的なものであり、それを一般の路線に当てはめることは無理である。ビジネス用の設定にすれば、空席が増えるのは当然である。 そのため、グリーン車利用を狙った「フルムーンパス」を発行しているとしか思えない。逆立ち発想である。 マーケティング専門家はこうした企画を誉めているようだが、理解しかねる。ビジネス用途商品を利用したい層に対してディスカウントするのではなく、お金を持ち使いたい層に応える商品に変えるのが筋だろう。 このような歪んだ考え方に反旗を翻したと見ることもできよう。 九州では、高速バスや航空機が安価路線に走っている。 顧客を増やせそうな試みを考えついたら、失敗を恐れずとりあえずやってみるのが一番だ。既存勢力や、慣行への配慮など無用である。 これこそが、経済活性化の鉄則である。 --- 参照 --- (1) 「九州新幹線つばめ カウントダウン」鉄道ジャーナル2004年3月号/4月号 (2) http://www.railfan.ne.jp/rj/main/esse_10b.html (3) http://www.jrkyushu.co.jp/shinkansen/syaryo_info/naiso02.html (4) http://www.jrkyushu.co.jp/attendant/osusume_spot/index.jsp 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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