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2004.7.27 



気候/気象科学は進んだが…

 耐え難い暑さが続く。一体どうなっているのだろう。

 先日、なにげない天候の挨拶で、そんな率直な感想を述べたら、猛暑は予測されていた、と聞かされて驚いた。
 もっとも、前もって猛暑になるのを知っていたからといって、不快感がなくなるわけではないが、ビジネス上極めて重要な情報に気付かなかったので、愕然となった。
 残念ながら、こうした予測は、注意していないと我々の耳にはなかなか届かない。

 と言うのは、普段流れている情報が「気象」ばかりだからである。

 「気候」の方は注目されないが、大まかな変化は、かなりの確度で読めるようだ。大気科学が急速に進歩したからである。
 エルニーニョ/ラニーニョ現象、ダイポールモード現象といった地球規模での変化を知るだけでも、日本の気候が見えてくるらしい。
 2004年は、酷暑が続き、8月の中頃には日本の南方海上で台風が発生しやすくなるそうだ。(1)

 気候科学が実生活に役に立つようになってきたといえよう。

 もちろん、気候科学だけでなく、気象科学の方も進歩は著しい。
 すでに、リアルタイムの豪雨表示システムが稼動しており、その気になれば、降雨による危険を察知することは難しくはない。(2)

 さらに、静止気象衛星の赤外画像を使えば、「テーパリングクラウド(人参状の積乱雲)」も読み取れる。(3)

 しかし、問題は、折角の進歩が生かしきれていない点だろう。
 情報を、対策に変える仕組みの方が相変わらず弱体なままなのだ。これは、気候や気象を担当する方の問題ではない。

 新潟集中豪雨への対応は典型と言える。

 かなり早い段階から、ダムへの流入水量は急増していた筈だ。周辺の降雨量の増加もわかっていただろう。もしも、その状態が続けばどうなるかはわかっていた筈だ。
 ダムは膨大な量の放水を始めることになる。そうなれば、下流での大洪水発生は避けられまい。
 従って、今回の被害はかなり早い段階で予想できたのである。しかし、その情報が下流の住民に伝わった形跡はない。(4)

 --- 参照 ---
(1) http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~yamagata/summer2004.html
(2) http://www.disaster-i.net/rain/
(3) http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/heavy_rain/cases/200407-niigata/
(4) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040716-00001091-mai-soci

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