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2004.9.8 



読書離れは世界的流れ…

 2004年7月、アメリカ国民は劇的に本を読まなくなったとの調査結果が発表された。(1)

 文学作品を読んだ人の割合が46.7%にまで落ちた。20年前は56.9%、10年前は54.0%だったが、ついに半数を切ったことになる。  この20年で成人人口が4000万人増えたのだが、読者数は9600万人と変化なしである。
 ともかく本を読んだ人でさえ、56.6%でしかなく、本離れは進んでいると言ってよいようだ。

 これだけなら、そうか、で終わるのだが、驚くような結果が示されている。文学書を読まなくなった人は、それ以外の活動も低調なのである。

 ボランティア活動、美術館訪問、芸術やスポーツイベント参加といった項目では、読書派の43〜49%が当てはまるのだが、非読者派は12〜27%でしかない。

 日本の成人はどうなのかよくわからないが、米国同様本離れが進んでいるのは間違いあるまい。
 小中高校生に関する数字でも、不読者の割合は、小学生は9.3%、中学生は31.9%、高校生は58.7%であり、本離れ層が存在していることが知られている。(2)
 そもそも、中学生で1ヶ月に1冊も本を読まない生徒が多数派になりかけているのである。

 間違えていけない。日本の生徒は忙しい訳ではない。世界的にみて、学校外での勉強時間は少ない方なのだ。
 読書に興味が湧かないだけのことである。

 こんな状況を見ていると、子供に読書をさせたくなる。
 とわざわざ言うまでも無く、「子どもの読書活動の推進に関する法律」に従い、全国で、粛々と運動が進んでいる。(3)

 しかし、大人が取り仕切る運動に、それほどの効果があるとも思えない。
 情報が氾濫している社会で、教養のためとか、人間形成のために読書すべし、と指導したところで、子供の方に納得感が生まれるとは思えないからだ。
 読書感想文を子供に強制するような流れが強くなれば、逆効果かもしれない。

 それよりは、「読書感想文って、実は読まなくても書けちゃう」(4)という指導の方が重要なのではないだろうか。自分の気持ちの対外表現ができれば、社会活動につながると思う。
 社会への関心なくしては、読書をしたい、との気持ちは生まれないのではなかろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.nea.gov/pub/ReadingAtRisk.pdf
(2) http://www.j-sla.or.jp/oshirase/kekka1.html
(3) http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/001.htm
(4) http://allabout.co.jp/children/childsite/closeup/CU20040827B/

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