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2004.11.19 |
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タオル業界の危機感…2004年4月15日、経済産業省は繊維セーフガードの発動水準に達していないとして、調査を打ち切ると発表した。(1)繊維セーフガードの発動要請をした四国タオル工業組合の言い分によれば、「このままでは、規制緩和が進まず、世界一高い電力料金や油などのエネルギーコストを支払っている日本の中小企業、製造業は近い将来壊滅してしまいます。そして全国190万人の繊維産業にかかわる人達や、その他製造業に携わる人達は、とてもIT産業や他の産業では吸収できるとは思えず、おそらくや、町は失業者で溢れかえることになる」という。(2) その通りである。 同じような製品を安く作れる競争相手が登場しているのだから、前と同じことを続けている産業は、衰退一途だろう。 と言って、セーフガードを発動したところで、状況が変わる訳ではない。 こんな状況は日本だけの話ではない。米国も同じである。ファーストフード店で働くしかなくるのだ。 発展途上国も競争である。昨日まで安価で勝っていた国に、さらなる安価で競争を仕掛ける国が登場するからだ。 ・・・などと考えさせられたのは、NewYork Times の2004年11月2日の記事を読んだからである。この動きがよくわかる。(3) グローバル経済化が進めば、こうなるのは自然なことだ。 自由経済を続けたいのなら、痛みは必ず伴う。これは避けられない。 新陳代謝は不可避である。 珍しいことではない。 例えば、青梅発祥のタオルブランド「ホットマン」の歴史を見れば、そうした苦闘がよくわかる。 「奥多摩の山々を望み、多摩川の清流が美しい自然の宝庫青梅は、古くから木綿の産地であり、織物の里でもあります。・・・戦前、戦後にかけてこの地域は“夜具地”の産地で一時は日本の7割を生産する大産地でした。現在では目にする事もなくなりましたが、小幅で先染めのかすり柄です。 しかし時代の流れとともに寝装寝具も欧米化し、需要も減り産地はタオル産業への転換を余儀なくされました。 ところが、愛媛県の今治市、大阪府の泉佐野市など先駆者達の壁は厚く高いものでした。周りは次々に姿を消して」いったのである。(4) しかし、「ホットマン」として生き残ったのだ。 梅花紡織という会社の名前を知る一般消費者はほとんどいないと思うが、「ホットマン」という店名の方は結構知られている。ファッショナブルな地域の直営店が繁盛しているからだ。(5) 実は、「ホットマン」は販売会社で、親会社は梅花紡織なのである。 高い水準の織物製造業として成功した、ということで見学に訪れる人も多い。 なんといっても、目立つのが、製販一貫でタオルだけに絞り込んでいる点だ。企画・デザイン・染色・織布・プリント・縫製・刺繍・物流・販売(直営店)のすべての工程を取り込むことで、競争力を発揮しているのである。 今度は、愛媛で同じような選抜が始まることになろう。 すでに、果敢な挑戦が始まっている。2000年には、なんと、タオル美術館が登場した。(6) タオルをアート化するという事業コンセプトである。 誰でも思いつくような当たり前のことをしていたのでは、没落必至だ。 こんな時に、本気になって打開策を考えれば、飛躍のチャンスを発見できる。とはいえ、当然ながら、難しい挑戦になる。リスクは高い。 しかし、難しいからこそやりがいがあるのではないだろうか。 実は、そのような緊張感がイノベーションを生み出してきた、というのが実務家達の教訓である。 タオル業界から、そのような企業が生まれそうな予感がする。 --- 参照 --- (1) http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005114/0/040402sg.pdf (2) http://www.stia.jp/voice/sg.html (3) http://www.nytimes.com/2004/11/02/business/02textile.html?8br (4) http://www.hotman.co.jp/howto/history.htm (5) http://www.catnet.ne.jp/ryokuei/seizo/baika/ (6) http://www.ichihiro.co.jp/art/ 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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