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2004.11.29 
 
 


健康クレイムの時代…

 たばこのパッケージには、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」との注意文言と、「タール・ニコチン量」が表示されている。
 さらに、「喫煙マナーをまもりましょう」という、余計と思われる文言も記載されている。

 それぞれ、財務省令第103号と日本たばこ協会自主規準が定めたものである。

 この注意文言が、直接的な表現に変わる。(1)
 例えば、「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」と記載される。
 これに、「疫学的な推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります。」といった具体的な文章が続く。

 JTは、2004年11月5日、包装デザインを変え、このような新注意文言を表示すると発表した。
 2005年6月30日までに表示することが義務付けられているが、2005年1月までに行うそうである。(2)

 厚生労働省健康局の「たばこと健康に関する情報ページ」(3)を見ると、一般人向けの情報というより、国際的活動の報告という印象しか受けない。新しい資料掲載も、年数回程度のようで、禁煙推進の熱意はさっぱり感じられないのだが、吸い過ぎ抑制活動は進展しているようだ。

 もっとも、Yomiuri On-Line がまとめた、世界のパッケージ写真を見ると、視覚的にもゾッとするものが多い。(4)

 なかでもDUNHILL の金赤パッケージは凄い。
 お洒落な箱の下3分の1に大きな文字で、「Smoking kills」と記載されているからだ。
 これに比べれば、「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」は柔らかい表現である。

 健康推進のために、節煙と喫煙者減らしの徹底した活動が図られる時代に入ったといえよう。
 企業としては、この流れに乗るか、逆らうかの、分水嶺をむかえたわけである。

 アルコール飲料もたばこ同様の扱いが始まるかもしれない。
 米国では、tobacco use、poor diet and/or inactivity、alcohol が3大健康阻害要因と見なされているからだ。(5)

 早くも、その動きをとらえた企業がある。ハイネケンである。

 その姿勢は明確だ。
 事業を継続的に進めるために必要なら、今、決断するしかない、という訳である。

 "Heineken has always promoted responsible consumption of beer and alcohol in general. This initiative represents the next generation of responsibility messages and underpins Heineken's commitment to corporate sustainability"(6)

 ビール瓶や缶のラベルと自社ホームページ「ENJOY HEINEKEN RESPONSIBLY」(7)を通じて、飲みすぎと、自己責任を呼び掛ける体制を敷き、世界中でキャンペーンを繰り広げるそうだ。

 この動きを見て、はたして、日本企業はどのような態度をとるだろうか。

 日本国民は違うと考えるか、面倒な問題は先送りか、逆流に抗して飲酒促進を図るか、・・・。

 --- 参照 ---
(1) http://www.jti.co.jp/News/04/NR-no24/appendix1.html
(2) http://www.jti.co.jp/News/04/NR-no24/no24.html
(3) http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/main.html
(4) http://www.yomiuri.co.jp/iryou/life/li391001.htm
(5) http://www.health.gov/dietaryguidelines/dga2005/report/HTML/D8_Ethanol.htm
(6) http://www.heinekeninternational.com/press/releases/nv/tcm_3-11754.jsp
(7) http://www.enjoyheinekenresponsibly.com


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