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2005.6.21 |
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玩具業界再編論への疑問…玩具メーカー、タカラとトミーの統合が発表された。(1)これで、玩具業界の再編が加速すると語る人が多い。この統合は、「少子化などの影響で国内のおもちゃ市場の伸びが頭打ちとなり競争が激しくなっているため、規模拡大で生き残りをめざす」(2)動きだという。
もっとも、携帯アプリゲーム市場は伸びが期待されているようだが。 (男児女児玩具や男児キャラクターは沈んでいるが、少子化にもかかわらず、知育・教育セグメントはそうなっていない。) 記事を眺めると、統合による企業規模拡大で、国内でトップに近づく云々とのコメントばかり目につくが、なんとなく違和感を覚える。 なにか大事な点が欠けてはいまいか。 中国から超安価な類似品がいくらでも入ってくる時代だ。製品ポートフォリオを調整したり、物流経費削減やオーバーヘッドカット程度で競争力が回復する類の事業ではなかろう。 にもかかわらず、規模の経済を生かして、競争力強化になるのはどういう意味なのか。わかるように説明してもらいたい。 それに、日本国内で規模を考えていても話しにならないだろう。商品はグローバル化している。本当の大型商品なら、グローバルに通用する筈ではないのか。 この産業の競争力の根源は、他社が真似できない強い商品にある。 そして、この商品力を維持し、そこからの収益を極大化できるスキルが重要だ。もちろん、永続的に強さを発揮するためには、ヒット商品を生み出す能力が必要である。これが成長力を左右することになる。 従って、1品でも、大ヒットをとばせば生きていける筈である。 玩具は、知恵で戦うビジネスという原点を忘れるべきではなかろう。 統合予定の両者の場合、共に強い商品を持っている。その上、開発力もある。にもかかわらず、赤字になる。部外者には理解しがたい。 保有“ソフト”の資産から収益を上げることに注力してこなかったか、ヒットを生み出す仕組みを壊してしまったとしか思えない。 もしそうなら、保有“ソフト”の資産運用に経営資源を大胆に投入するとか、大型開発投資を図らない限り、規模の効果は限定的に終わるかもしれない。 海外で発生するM&Aとは、優良商品を入手し、その“ソフト”資産があれば、さらに儲ける自信があるから行うのである。 例えば、MattelのミニカーやBarbie人形を見ればわかるだろう。驚くべき長寿商品ではないか。対抗商品はいくらでも登場するが今もって地位を守っているではないか。この力が武器なのである。 日本人が発明したことで有名なOthelloも、この企業が世界へと広げたのではなかろうか。 いかに保有“ソフト”資産で収益を上げ続けられるかが肝要なのである。 「Monopoly」「THE GAME OF LIFE」「Scrabble」を発売している米国Hasbro(6)も同じだ。 アクション・フィギャー「G.I. Joe」は40年の歴史がある。そして2002年にはリバイバルブームを作りだした。こうした“ソフト”の資産運用スキルが収益に大きく係わるのである。 当然ながら、開発力も重要である。1998年には「FURBY」を流行らせた。 もちろん、導入や買収にも熱心である。POKEMONも取り入れたし、DisneyやLucasfilmと一緒になってキャラクタービジネスを積極展開している。 ひとつひとつをメディア戦略のもとでしっかり育てあげるスキルがあるなら、規模は自然に拡大するものである。そして拡大の好循環が生まれる。従って、業界リーダーはどんどん強くなるのが普通である。 --- 参照 --- (1) http://www.takaratoys.co.jp/ir/jp/press/pdf/050513.pdf (2) http://www.asahi.com/business/update/0512/090.html (3) http://www.toys.or.jp/2003_sijyoukibo_data.htm (4) http://www.takaratoys.co.jp/ (5) http://www.tomy.co.jp/top/ (6) http://www.hasbro.com/pl/page.corporate_history_hasbro/dn/default.cfm 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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