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2005.9.21 |
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HDIを眺めて…2005年9月、UNDPがHuman Development Indexを公表した。(1)生活の質を比較するのは難しいが、この指標はかなり客観的に見ることができる。
日欧米諸国は、それぞれ問題は抱えているものの、質の向上が実現できたから、大きな戦乱もなく、政治的な安定が保たれてきたといえそうだ。 日本も、バブル破裂以降、経済は沈滞したが、この指標から見る限り、生活の質は上がってきたことになる。 最新(2003年)指数が、1990年の日本の数値に達した国は24ヶ国ある。アジアからは相変わらず日本だけである。 上位20ヶ国(2)で1990年からの変化を見たのが右表である。 日米両国は、1990年は先頭グループだったが、今や、団子状態のなかの10位と11位だ。以前は相当開きがあったアイルランドやニュージーランドとほぼ同じなのである。 先進国では生活の質が均質化してきたといえそうだ。 20ヶ国に入らない欧州の国としては、スペイン(.926)、ポルトガル(.904)、ギリシャ(.912)がある。 これ以外はスロベニアを除けば、まだまだ相当なひらきがある。 バルカンや露圏の新東欧(ウクライナ, ベラルーシ, モルドバ)は別として、バルト3国や中欧5ヶ国の数値は、1990年頃の先進国の状況に近づきつつあるといったところだ。 エストニア(.853)、リトアニア(.852)、ラトビア(.836) ポーランド(.858)、ハンガリー(.862)、チェコ(.874)、スロバキア(.849)、スロベニア(.904) こうして見ると、グローバル化は欧州の人々にとっては相当なメリットをもたらしたと総括すべきだろう。
数字からはHDIも相当向上したとは言える。しかし、その絶対値は欧州の小国とは比べるべきもない。 正直な印象からいえば、いつになったら先進国レベルに到達するのか想像もできない。 しかし、アジアでも都市国家の香港(.916)やシンガポール(.907)は先進国のレベルに近づきつつあるのだ。 この事実を噛みしめるべきだと思う。 大胆な仮説でしかないが、BRICsは、大国として動く限り、現在の先進国並の生活を実現するのは難しいのではないかと思う。 大国でも先進国として存在できるのは、世界の覇者として君臨する米国だけである。これは例外でしかない。国民が覇者の地位を維持することを是としているからだ。このモデルは、追う側には成り立つまい。 覇者や覇者を狙う国とは対立せず、こじんまりとまとまって、生活の質を高めることに力を注ぐ国が成功するのである。 ノルウエーやアイスランドといった小国が着々と住みやすい社会を築いていることを見習うべきだろう。 覇権で富が築けるのは、覇者だけである。覇者となる勝算がないのに、覇者の真似事をして楽しむ国は破滅を招くだけである。 言うまでもないが、覇者を狙わない国は、知恵で富を築くしかない。 おそらく、現在の一団となっている先進国のなかで、さらなる発展を遂げるのは、それを理解している国である。 先進国でも、知恵なき国や、戦略なき覇権遊びをする国は、早晩没落することになろう。 --- 参照 --- (1) http://hdr.undp.org/reports/global/2005/pdf/HDR05_HDI.pdf (2) 21〜25位:スペイン, 香港, イスラエル, ギリシア, シンガポール. 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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