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2006.2.2
 
 


電子辞書を眺めて…

 最近の電子辞書の単価は驚きである。

 100冊入っていて、定価が29,800円。 (1)
 同じようなものや、さらなる高機能品が安売りされていることもある。モデル落ちではなく、最新版である。

 電子辞書は、図表が除かれている程度で、中味は最新版だ。本の付録が必要なければ、ハード装丁の辞書より、便利だし、コストパフォーマンスも上ではないかと思う。

 なにせ、1,000万人の読者をもつと言われる(2)、岩波書店の広辞苑が、定価7,665円だ。従って、残りのほとんどは、オマケ品と思っていたら、そのようなものではない。
 本屋に並んでいるような本が搭載されている。
  [出版社名: 旺文社、学研、LONGMAN、大修館、研究社、日経BP社、朝日新聞社、日経新聞社、アルク、日立システムアンドサービス、時事通信社、小学館、法研、自由国民社、三省堂、アートデータ、エナジー、ニュー・サイエンス社、DHC、JTBパブリッシング、語学春秋社]

 これと比べると、ディスクメディアの高価さが目立つ。特別な用途以外は、買う人もなかろう。

 一方、ファイルダウンロードのサイトを見ると、1冊あたりで見れば、結構なお値段である。
 例えば、外国語会話もので800円位。
 しかも、電子辞書に登場するような本は揃っていない。

 辞書とは改定が不可欠だから、本当なら、ファイルダウンロードで常に最新版にしておきたいニーズはある筈なのだが、そのような類の本の販売は行わないつもりのようだ。

 要するに、ハード本のビジネスに影響が無いように、ファイルダウンロード産業を立ち上げようということのようだ。
 これでは、いくら機器の性能が優れていても無理である。

 ファイルダウンロード事業に賭けたいと考える事業家は海外に出た方がよいと思う。日本市場で頑張っても徒労に終わろう。

 本気で新しい事業を立ち上げたいと人はほんの一部である。
 間違えていけないのは、少数であることが問題なのではない。
新産業創出を進めるのは、何時でも少数派である。
 日本の問題は、この少数派の周りに、立ち上げたくない人達が群がる点にある。口では、新産業立ち上げを喧伝するが、既存事業を壊さずに新規分野立ち上げを図るために参加しているのだから、本質的には新規分野の勃興抑制派でしかない。新しい流れが発生しそうだから、ともかく参加し、権益の雫でもいいから入手したいというのが、この人達の本音であろう。
 これで上手く立ち上がるとは思えない。

 と言って、人生を賭けて新しいことをやろうと考える人が集まるシリコンバレーが上手くいくとは思えない。著作権が絡む分野で新しい枠組みを作るのは難しいからである。

 それでは、少数派はどうしたらよいか。
 答えは簡単である。新しい枠組みを潰そうとする勢力が少なく、生活の質が十分高い地域でテストすればよいのである。

 日本企業にとっては、特に新しい話ではないと思うが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.e-casio.co.jp/dictionary/exword/lineup.html
(2) http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0801110/


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