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2006.2.14
 
 


インターネット版記事の読後感…

 2006年2月10日、同じようなニュース見出しが並んだ。(1)
 前日に、警察庁が2005年の暴力団情勢を発表したことを伝える記事である。

   「山口組」初の4万人超、全国暴力団の半数以上に(2006年2月10日 5時00分)
   暴力団構成員:山口組が初の過半数 一極集中進む
   暴力団員ら10年ぶり減少 山口組、構成員で50%超
   山口組系組員が5割超=一極集中、不透明化進む−警察庁

 もっとも、同様なタイトルが見当たらない新聞社ニュースサイトもあった。

 そこで、警察庁の「報道発表資料」サイトを眺めてみた。掲載されたのは、10日遅くのようである。ニュース報道後に報告書を掲載する仕組みのようだ。(2)
 ライブドア事件でも、ニュース報道後、しばらくしてから捜索が入った。報道機関には、情報を早く流す決まりがあるのだろうか。

 この問題はおいておくこととし、上記4報の内容について、その印象を記しておこう。

 一言でいえば、報道発表資料の概要から抜粋しただけ。
 速報だから、そんなものかもしれぬが。

 といっても、暴力団員数推移のグラフを掲載した記事もある。そこには、警察庁が指摘したポイントも記載されていた。
 しかし、それだけ。
 読者から見れば、記者のもう一言が欲しいところである。プロフェッショナルなのだから、簡単なことと思うのだが。
 記事を引用しておこう。

 同庁は、山口組への一極集中が進んでいるとして警戒を強めている。

 同庁によると、暴力団の活動は、みかじめ料など暴力団の威力を背景にしたものから、公共事業への介入や、構成員を中核とした犯罪集団による振り込め詐欺、窃盗・強盗団などへと多様化を示している。
さらに、準構成員が増加して構成員とほぼ同数となっており、・・・「暴力団が活動を不透明化させている」とみている。

 「だから、なんなんだ」とフラストレーションがたまる。

 一極集中で、どのような事態がおこる可能性があり、警察庁が警戒しているのは何なのか。
 「暴力団が活動を不透明化させている」のに対応して、警察庁はどう動くつもりか。そして、市民や企業に、何を期待しているのか。

 いずれも、さっぱりわからぬ。

 そもそも、公共事業への介入など、今に始まったことではなかろう。
 “暴力団の資金獲得の手段として、暴力団の公共工事への介入の実態が明らかになっている。”(3)・・・こんなことは、昔からある話である。

 知りたいのは、一極集中が進むと、政治的圧力で受注する力を持ち始めるのではないのか、一般会社に対して圧力をかけていないのか、といった点だろう。
 普通の企業が暴力団の庇護の下に走り始めていないか、という点も心配だ。
 「警察庁の警戒」とは、そんな兆候を意味するのだろうか。

 日本のインターネット版記事には、このような疑問が膨らんでくるものが結構多い。
 読者は、断片的なデータを見て、勝手気ままに意見が言えるから嬉しいだろう、ということなのだろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060210i202.htm?from=main2
  http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/m20060210k0000m040156000c.html
  http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006020901003856
  http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=060210052623X012&genre=soc
(2) http://www.npa.go.jp/pressrelease/index.htm
(3) http://www.kentsu.co.jp/tokyo/news/p01406.html


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