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2006.5.18 |
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カモノハシに想う…動物の学校の新学期。グループ分けのときカモノハシくんはどこにも入れず、一人ぽっちに・・・。(1) 「変わり者のぼくには仲間がいない」のだ。 う〜む。 児童向けの絵本での話だが、考えさせられる。 それにしても、不思議な動物である。(2) ・子供は母乳で育つ。と言っても、乳腺から出る分泌物を舐めるのだが。 ・哺乳類と言えそうだが、足は爬虫類のように体の横についている上、毒を出す。 しかも、卵から生まれる。排卵孔は糞尿・生殖と共通で、爬虫類や鳥類と同じ。 ・ただ、爬虫類のように硬い表皮はなく、体毛が生えている。 低温とはいえ、体温を保つ機能はあるのだ。 ・そして、鳥のような嘴や水掻きを持つ。 ところが、羽は無いし、口の中には歯まで生えている。 素人にしてみれば、カモノハシは複合生物に映る。 遺伝子解析によれば、カモノハシは、カンガルーのような有袋類やその他の胎盤で育てる系統とは、完璧に独立しているそうだ。(3) 化石からは、哺乳類型爬虫類は絶滅したことが知られているが、カモノハシは当時の面影を残している訳だ。もっとも、正確に言えば、分岐が古いと言うだけで、祖先の形質をそのまま引き継いでいるとの証拠はないが。 ともかく確実に言えるのは、この類の哺乳類は生き延びたとはいえ、勢力は伸ばせなかったということ。基本形質が優位に働く環境は限定的だったのである。 ・・・などと、カモノハシの形質の意味を考えていると、それでは、ヒトはどんな生物として現れたのか、と想像してしまう。 ヒトは、猿とは違い、厚い体毛に覆われることもなく、皮下脂肪を持つ。水棲哺乳類と似た機能を持っていると言える。 と言うことは、草原や森の動物ではなく、二足歩行する水辺の陸上動物だった可能性は高い。 これは知る人ぞ知る、脚本家が広めた仮説[The Aquatic Ape Hypothesis](4)。この説が力を持つのは、ヒトにヒヒのレトロウイルス抗体が無いとの指摘がなされているからだ。その通りなら、森に棲んでいれば、ヒトはとうの昔に絶滅していた筈だ。 魚介類を好むと、どうしても、水棲陸上説に親近感を覚えてしまい、この説に軍配を上げたくなってしまうのかも知れぬが、筋の通った説であることは間違いない。 しかし、この仮説が真面目に取り上げられることはない。基本的には、珍説扱い。 カモノハシ君同様、風変わりなものは認めない世の中なのである。 --- 参照 --- (1) ジェラール・ステア作 ウィリー・グラサウア絵 河野万里子訳 「カモノハシくんは どこ? 」福音館 2002年 http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.jsp?goods_id=3941 (2) http://expo2005.com.au/documents/fs36-FACT%20SHEET%20About%20the%20Platypus%20-%20Japan.pdf http://expo2005.com.au/platypus.asp [English] (3) Teun van Rheede, Trijntje Bastiaans, David N. Boone, S. Blair Hedges, Wilfried W. de Jong, and Ole Madsen.: “The Platypus Is in Its Place: Nuclear Genes and Indels Confirm the Sister Group Relation of Monotremes and Therians” http://mbe.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/23/3/587 (4) エレイン・モーガン 望月弘子訳 「人類の起源論争 アクア説はなぜ異端なのか?」どうぶつ社 1999年 「人は海辺で進化した 人類進化の新理論」1998年 [The Aquatic Ape --- A Theory of Human Evolution (1982) ] http://doubutsu-sha.com/tosho/hon_html/kigenronsou.html 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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