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2006.7.3 |
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お勧めしたい脳トレーニング手法…頭を使うクイズや、記憶力向上トレーニングが大流行のようである。単純な暗記モノではなさそうが、小学生で学んだ○○算や、歴史年号や周期律表の覚え方、神経衰弱ゲームを彷彿させ、子供に返ったようなものが多く、さっぱり興味が湧かない。 ビジネスマンがこんなものに熱中している姿を見ると、正直なところ、がっかりする。頭が疲れきって働かなくなっているのでないかと、心配である。 頭を使うなら、イロイロあると思うのだが。 例えば、夏を迎えて珊瑚礁に興味を覚えるなら、珊瑚の分類を考えて見たらいかがだろう。 この方が、余程脳味噌を鍛えることになる。 沢山ある珊瑚の名前を覚えるような頭の使い方をお勧めしている訳ではない。(珊瑚をそこまでお好きな方は別だが。) 分類を見て、この動物はどのように現れてきたのか考えるだけでも、思考の訓練になる筈だ。 珊瑚の分類(1)を簡素化すると以下のようになる。 | ▲絶滅種(化石)[四放、床板、異放] | ▲ハード珊瑚[八放] | ▲ソフト珊瑚[六放] | △イソギンチャク | U | △磯巾 | U | △砂巾 | U | ▲サンゴ | ▲“石”珊瑚・・・造礁性 | ▲“骨無”珊瑚・・・無殻 絶滅種がある。そうした珊瑚が造ったのが石灰岩と言われているが、その量たるやただごとでなない。大繁栄していたのである。ちょうど、生物が陸にあがり始めた頃のことである。 何故、この種だけ絶滅したのだろう。 こんなことを、チョット考えるだけでも、頭のトレーニングになると思うのだが。 我々が美しいとして保護する造礁性の「石珊瑚」にしても、分類を見ると、炭酸カルシウムの殻を持たない「骨無珊瑚」という無殻の種が存在する。 それでは、「骨無珊瑚」はどのように現れたのか。 もともとは殻などない動物が、殻を持つようになったのか、それとも逆か。 想像力を働かせるだけで、すばらしい訓練になりそうである。 当然ながら、こんな疑問に対する正解は用意されてない。 というより、実は、先端の学問分野である。 ミトコンドリアのゲノム解析結果によると、石珊瑚から骨無珊瑚が生まれたと見なせるそうだ。(2) 炭酸ガスが増え、殻が溶けたと想定できるとの話は、確かに説得性がある。 大きな流れから見れば、石珊瑚は消え、その進化系が繁栄することになるのだろう。それは、骨無珊瑚の繁栄を意味するのだろうか。 こんなことを考えたところでなんの意味もないと思う人は、頭のトレーニングと称して円周率の数字の暗記に励んだりする。記憶力が最重要と考えているのである。 しかも、そんな人に限って、詰め込み教育はけしからんと叫んだりする。理解に苦しむ。 --- 参照 --- (1) http://epp.eps.nagoya-u.ac.jp/~seicoro/bio/cnidaria.html (2) Monica Medina,, Allen G. Collins, Tori L. Takaoka, Jennifer V. Kuehl, and Jeffrey L. Boore: “ Naked corals: Skeleton loss in Scleractinia”[2006.6.5] http://www.pnas.org/cgi/content/short/103/24/9096 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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