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2006.11.13 |
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魚が食べられなくなる日…海の生物多様性が失われつつあるが、今のまま続けていると、海産物は食料源としての役割を果せなくなるなど、相当なインパクトがありそうだとのこと。2006年11月3日付けのScience に掲載されている、カナダ、米、パナマ、スェーデン、英、の研究チームの報告書の見通しである。(1) “Marine biodiversity loss is increasingly impairing the ocean's capacity to provide food, maintain water quality, and recover from perturbations.” 確かに、食卓にのぼる魚は次々と主役が変わりつつある。最盛期の漁獲量と比べると、1割にも満たない魚種が増えているのは、魚を食べつけている人ならとうの昔に気付いている。今や、モロッコの蛸どころではなく、ナミビアの赤魚、南アフリカの金目、ペルーの穴子、と世界中から魚を集めないと需要に対応できないのが実情である。 さらに入手難になると、似たような魚をどこからか見つけてくる。そんな努力があるから、我々は魚を食べ続けることができるが、こんなことが何時までも続けられる筈がないのは明らか。 2006年1月5日付けのNatureでも、深海トロール漁の酷さが指摘されている。(2)深海魚は今や絶滅の危機状態らしい。 それはそうだろう。餌が乏しいところで生活している魚なのだから、高山に生えるハイマツ同様、育つのには何十年もかかる筈。おそらく繁殖力も弱い。そんな魚を、トロール漁法で根こそぎ捕獲してしまうのだ。その結果はわかりきったこと。予測では、99%の種が消えるそうだ。 但し、Science 掲載論文によれば、今すぐ対応すれば、なんとか間に合うそうだ。 “Yet available data suggest that at this point, these trends are still reversible.” 要するに、厳しい漁獲制限をせよという主張である。 すでに、そんな動きがヒタヒタと押し寄せつつある。 大西洋では、Tuna の漁獲規制を強化せざるを得ないのはあきらかだし(3)、高級トロで人気が高いミナミマグロ(インドマグロ)も、このままなら産卵さえできない状態になるとのコンピュータシュミュレーション結果がでたようだ。 もっとも、マグロを獲るのは年々大変になっているのだから、漁業関係者なら、そんなことは百も承知。実際、「みなみまぐろ保存委員会」まで組織化し、漁獲量取り決めまで行っていた。 しかし、どうせ獲れなくなるのなら、取り決めなど無視して、他国より沢山獲ろうというのが日本の漁業の実態だ。 ここまでくれば、流石に、漁獲量大削減を受け入れざるを得なくなったということだろう。(4) 今までの政府のやり方を見ていれば、これも、どこまで本気かは大いなる疑問だが。 はてさて、日本の漁業関係者は、将来どうするつもりなのだろうか。 今のままなら、遠からず、魚が食べられなくなる日が到来しそうだが。 --- 参照 --- (1) “Impacts of Biodiversity Loss on Ocean Ecosystem Services” Science [2006.11.3] http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;314/5800/787 (2) “Fisheries: Deep-sea fishes qualify as endangered” Nature [2006.1.5] http://www.nature.com/nature/journal/v439/n7072/abs/439029a.html (3) http://www.iccat.es/Documents/Meetings/Docs/PLE-014%20EN.pdf (4) http://www.jfa.maff.go.jp/release/18/101601.htm 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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