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2007.1.29 |
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PS3路線の問題…だいぶ昔のことだが、PS3の生産は、当初月100万台とし、市場が立ち上がったら、それに合わせて600万台増産へ、との話を読んだ覚えがある。半年位で膨大な数の機器を販売しようとするのだから、とんでもなくダイナミックなビジネスである。変動リスクも高い。ところで、先に上市しているにもかかわらず、競合のXbox 360は、高精度ディスプレーが普及していない日本市場ではさっぱり浸透していない。一方、Wiiはちょっと毛色が違う。 従って、PS3の普及シナリオが成り立つかは、ひとえに米欧市場で急速な立ち上げができるかで決まるのではなかろうか。 従って、もし、玉が足りない場合の、米、欧、日の出荷台数比は、それこそ4:2:1でもよいのではないか。 ところが、現実には、全く違う方向に進んでいる。欧州発売を大幅に遅らせたのだ。(1)そして、米国より、日本市場を要視したようである。 その結果、日本の累計出荷100万台が2007年1月16日に達成されたそうだ。(2) この方針、後々までビジネスに大きく響くかも知れない。 と言うのは、最近の日本の状況を見て、出荷計画を“下方修正するのでは”との市場関係者の観測が流れ始めたからだ。要するに、予想より低調ということ。(4) もっとも、狙い目の米国では発売後約6週間で出荷は100万台に到達しており(3)、予定より半月遅れとはいえ、まずまずといったところに見えるが。 要するに、任天堂のWiiが爆発的に売れたため、押されているということだろう。日本の量販店での在庫が増えており、インターネットオークションが“定価割れ”していることも不安材料のようだが、PS3の足を引っ張りたい人が多いのかもしれない。 そう感じるのは、PS3批判を結構耳にするからだ。PS2の成功時にはベタ褒めしていたのに、手の平をかえしたように、PS3に対しては、こんな先端技術製品を出すのは間違っていると言う人さえいる。 PS3の製品戦略が優れているとは思わないが、PS3は、PS2の成功体験で得た教訓を踏襲している。批判者は、新しいやり方で進めと主張するつもりなのだろうか。 PS2の成功のポイントは、リードユーザーを梃子にして、市場を急速に立ち上げること。(ただ、ゲーム機器はパソコンと違い、ソフトとハードがバンドルしているとの前提には注意が必要である。この産業構造を壊す強力なソフト業者が登場しないから、こんなとができるとも言える。) そのリードユーザーとして、高機能パソコンを楽しむ人達や、動きが早いゲームに入り浸っている層を設定したと言える。先ずは、この人達がどうしても欲しくなるような仕様を実現することが出発点である。それが、高機能プロセッサーなのである。 滅多なことでは手に入らない高性能プロセッサー搭載機器を、手の届く範囲の金額で販売すれば、このリードユーザーには必ず売れる。どんなものか一度は試して見たくなるからだ。 リードユーザー市場がどの程度の規模かは、はっきりしないが、自作パソコン市場を見れば、小さくはない筈である。 数ヶ月でこの市場を一気に制覇すれば、核となるユーザーを形成することができることになる。そして、そこでの評判が一般に伝わっていく。こうして、一般市場への普及がスムースに進むという訳。 ただ、一般市場では、人気ゲームがなければ、どうしても機器購入が遅れる。それを防ぐには、他の機能を搭載し、家電機器としての魅力も付加することになる。買っておいてもよいか、という気にさせるのである。 それが、PS2ではDVDプレーヤー、PS3ではBDプレーヤーということ。プレーヤーを購入するより、圧倒的に安価であるから、消費者も機器に手が伸びるとの目論見と言えよう。 しかし、PS2とは違って、PS3の価格は高い。消費者が気軽に買うレベルを越えている気がする。 そうなると、米国では、ゲーム機器購入を取りやめて、専用プレーヤー購入に流れる人が出そうだ。又、日本では、どうしても欲しいゲームが登場するまで、購入手控えが発生すると思う。ゲームはPS2でも十分、と考えることになる。 要するに、PS2をPS3に替える決断ができないというこ とである。 日本市場導入を急いだのは、機器普及が進まないと、ソフト開発者がプログラム作成を躊躇し、様子見に走ってしまうから、それを防ごうとの思惑があったように見える。 一見、当然の判断に思えるが、PS3のビジネスにとっては、それより、リードユーザーの好反応の方がより重要なのではなかろうか。 この人達を巻き込む仕掛けが乏しいと、盛り上がりを欠くことになり、普及どころではなくなるのではなかろうか。 PS2の時は、日本では、それこそ感激の嵐だった。ところが、PS3の反応は静かそのものである。 なにせ、PS3用で売れているソフトは、「リッジレーサー7」、「機動戦士ガンダム ターゲットインサイト」。各々、10万本弱の販売でしかないという。(5) どう見ても、リードユーザーが嬉しがっている数字ではない。 競合の動きを見て、機器投入を急いだのだろうが、これが裏目に出る可能性もある。 --- 参照 --- (1) http://www.scee.presscentre.com/Content/Detail.asp?ReleaseID=4317 (2) http://www.jp.playstation.com/info/release/nr_20070116_ps3.html (3) http://www.us.playstation.com/News/PressReleases/373 (4) 「PS3の在庫は潤沢に──「長期戦」強調」ZAKZAK [2007年01月23日] http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/23/news060.html (5) http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/25/news052.html 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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