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2007.6.27 |
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日立のプラズマテレビ事業を眺めて…日立のデジタルメディア・民生機器事業は不振が続いている。中核製品は言うまでもなくプラズマテレビ。この事業強化に、ハードディスク事業の強みを生かす目論見らしい。 “2003年10月にハイビジョンHDDレコーダー内蔵のプラズマテレビを発売して以来、「録画ができるテレビ」の使いやすさの進化を追求”(1)してきたのである。 そして、2007年3月には、 “世界で初めて、内蔵型のHDD「iVDR」と、 着脱可能な「iVDR(2)」対応の 「iVポケット」を搭載”したテレビを発売。 CATV接続用セットトップボックス、あるいは録画用機器を、テレビ本体と一体化する流れを作ろうとの方針のようだ。 挑戦的と言ってよいだろう。 今まで、そのような合体機器がテレビ市場で主流化したことがないからだ。 類似のものとしては、安価なビデオテレビだけ。ヒットしたとはいえ、特定セグメントの顧客向け商品と見てよいだろう。 ・・・ハードディスク内蔵大型テレビが、一般消費者の琴線に触れる可能性が高いとは思えないのだが。 ただ、録画したハードディスクをディスクメディア同様に取り外すことができる仕組みは、訴求力がありそうだ。従って、これに賭けるということなのかも知れない。 だが、「iVDR」の標準化にも邁進するのだから、そのうち他社も搭載することになる。 それでも、先行優位を維持できる力があるのだろうか。 日立はプラズマテレビが強いと言われているが、出荷台数シェアで第4位。トップとの力量差は大きい。(3) 普通は、こんな場合、自社のテレビ事業でハードディスクの優れた点を訴求したりしない。 それよりは、主要テレビメーカーにハードディスク接続仕様をライセンスアウトするなどして、テレビ用ハードディスク市場で圧倒的な地位を狙う方が儲かる可能性が高いからだ。 つまり部品業の高収益化である。 機器の方は特定セグメント集中しかない。 どうして、その方向に進まないかといえば、「日立グループシナジー効果の発揮(素材〜部品〜セットまで)」(4)方針に従っているからだと思われる。 内製化率70%(4)だから、競争力が発揮できると見ているのかも知れない。確かに、様々な部材をグループ内から調達できる。 ・パネル ・ディスプレイ関連材料 ・ドライバIC、LSI ・ハードディスク ・チューナ しかし、問題は、それが最終製品の強みにどう効くかである。
つまり、半導体の塊なのだ。半導体が機能を制するから、この部品で勝敗がつくビジネスということ。 つまり、内製化率など重視すべきではない。周辺部材をいくら内製しても競争力向上への寄与は僅か。 デジタルテレビの基幹ICの開発を行なえるか否か第一関門である。 膨大な開発投資を要する、この半導体ビジネスが軌道に乗らなければ、儲からないということ。投資に見合うだけ売れず、製造設備の効率的運用もできなければ膨大な赤字が発生するし、その逆なら、一大飛躍ということ。 このビジネスに絡まない企業が高収益化を狙うのは難しいということでもある。 要は、この半導体開発に注力できる企業は世界で一握りしかいないのである。このグループに入れないのなら、純アセンブル企業と収益性はたいしてかわらない筈である。 しかも、液晶の大型化が進み、プラズマテレビのウリが安価と見なされかけている。 基幹半導体とパネルのコスト競争力がダイレクトに業績に響くようになってきたということ。 2007年第1四半期のテレビ市場にしても、液晶は台数が大きくのびたから拡大したが、プラズマテレビは縮小したのだ。(3) 日立の事業の実態はよくわからないが、薔薇色の世界が開けているとは思えない。 間違ってはいけないが、富士通/日立の米国登録件数(5)をみてもわかるように、パネルの要素技術で見れば、技術力が弱い訳ではない。 問題は、この力を活かせる根拠がよくわからない点にある。 --- 参照 --- (1) http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/03/0320.html (2) iVDRコンソーシアム設立は2002年3月 http://www.ivdr.org/ (3) ディスプレイサーチ(日本事務所)「Q1’07世界テレビ市場の調査結果」 http://www.displaysearch-japan.com/release/2007/05/r25.html (4) 「日立の薄型テレビ事業戦略」2007年4月 http://www.hitachi.co.jp/IR/library/presentation/070418/070418.pdf (5) 特許庁 特許出願技術動向調査報告書 「プラズマディスプレイパネルの構造と製造方法」 2005年 http://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/16info_plasma_dis.pdf 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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