↑ トップ頁へ

2007.8.30
 
 


食品規格の与太話…

 京神阪、岡山では食パンの主流は5枚切りが多いという。(1)
 そんなことを始めて知った。

 和食器組モノは5枚で、洋食器では6枚という、数の伝統を重んじる地域は、食パンも奇数にこだわるのだろうか。

 「トースト用に6枚切り」「サンドイッチ用に8枚切り」が基本で、「厚切り4枚切り」と「極薄10枚切り」も揃えることがあるというのが、“デフォルト”と思っていたが、そうではないようだ。
 「ハーフサイズ3枚入り」と「少量2枚入り」もあるから、おどろくほどのバリエーション。

 もっとも、1995年に全国発売した「新食感宣言」(2)は、5枚切りだったという。現時点のメーカーのサイトを見てみると、5枚切りは山型で、角型は6枚切りのようだ。

 こんなことが気になるのは、最近、発泡スチロール納豆パックの容量がいい加減だからである。
 昔は、1パック50gというのが“デフォルト”だった。
 ただ、紙カップ入りは商品によって大きさが微妙に異なるようで、30gが多いようだが、“デフォルト”感は余りなさそうである。

 発泡スチロール納豆パックでは、豆の大きさの違いに関しては規格が決まっているようだ。(3)
 関東地方でよく売れるのは「小粒[直径5.5mm〜7.2mm]」と「極小粒[4.9mm〜5.4mm]」、東北地方の北部や特に秋田では「ひき割り」、関西方面は「大粒[7.9mm以上]」と「小粒」だという。
 「中粒[7.3mm〜7.8mm]」が基本という訳ではないらしい。
 ちなみに、「極小粒」だと213〜266粒入っているそうだ。

 ところが、安売りのためだろうか、最近は容量が45gだったりする。なかには、40g品まででてきた。ほぼ同じ大きさのパックで、重さは目立たないようにしている商法が当たり前になりつつあるようだ。

 豆腐では、スーパーの棚での陳列が難しそうなサーフボード形状の商品まで登場しており、“規格どころの話ではない。
 豆腐“一丁”とは、どのような規格かはさっぱりわからぬ状態と言ってよいのではなかろうか。

 とはいえ、一応は、直方体の1丁の標準は300g(4)らしい。組合がうるさい地域と、高級スーパーやこだわり小売業者が守っている規格ではないかという気がするが。

 もっとも、日本豆腐協会によれば、これは東京の話で、千葉では340gだという。規格は無いということらしい。(5)
 尚、「一丁380粒」と昔から言われているそうだが、この数字だと114gに当たるそうで、300gで使用する大豆の77〜90gとは合わない。

 このことは、もともとは一丁300gではなく、一丁450gだったことを示していると言えそうである。
 誰かが、核家族化の流れに合わせて、規格を変えたのだろう。

 島豆腐は、そんな流れが沖縄にはまだ来ていないことを示すものかも知れない。1kg品や、630g品が並んでいるからである。

 そういえば、小生が、冷奴用に買い求める、極く普通のお豆腐屋さんでは、水槽内で包丁で一丁分を切り取り、プラスチックパッケージに入れて渡してくれる。なんの表示もない木綿豆腐だが、ずっしりと重たく、どうみても450gタイプ。160円。もちろん、都内ではないが。

 尚、江戸時代は、各藩で規格や価格を統制していたようである。(6)
 ウエブを検索してみたら、昔は、縦11cmx横7cmx高4.5cmで、約450gだったと推定している人がいた。(7)真偽のほどはわからぬが、この数字結構当たっているのかも知れない。

 規格統一は便利ではあるが、ライフスタイルが変わっても、そのまま続ければ不便だ。しかし、変更は簡単ではない。誰がどのように先導するかは、結構重大問題かも知れない。
 牛乳にしても、圧倒的主流は紙パックの1,000ml。(8)ところが、700mlも結構流行っているようだ。もちろん、コレ百円ショップに合わせた商品。(9)

 ちなみに、沖縄では、今もって946mlのまま。(10)

 ふ〜む。

 横断的に見ると、食パン250g、豆腐300g、牛乳700mlといったところが現代の規格という話をきいたことがあるのを思いだしてしまったが、そんなものかも知れないという気になる数字である。コレ、調べた訳ではないが、蛋白質の同等量らしい。

 言うまでもないが、食の健康に気ばかりつかう割りに、こんな大雑把な栄養学が未だにまかり通るのが日本の面白いところである。
 蛋白質なら、なんでも同じ訳ではないことは、触れたがらないのである。白米は蛋白質の量が多くて優れた食品だが、リジンが少なすぎるといった話をされたくないのかもしれない。

 --- 参照 ---
(1) 大塚幸代: 「関西の食パンは5枚切りなの?」 DailyPortal [2007.8.8] http://portal.nifty.com/2007/08/08/a/
(2) http://www.yamazakipan.co.jp/brand/01_04.html
(3) http://www.toyoshinpo.co.jp/natto/n0603_1.html
(4) http://www.maff.go.jp/soshiki/nousan/hatashin/daizu/tisiki/kakou.html#一丁
(5) http://www.tofu-as.jp/tofu/howto/08.html
(6) http://www.archives.pref.fukui.jp/fukui/07/kenshi/T4/T4-3-01-01-02-03.htm
(7) http://mediazone.tcp-net.ad.jp/MISO/NAGOYAAJI/misobata38.html
(8) 日本酪農乳業協会「小売流通から見た牛乳類の市場性と変化」2005年 http://www.j-milk.jp/expertise/research/8d863s000003xc8l-att/8d863s000003xcd5.pdf
(9) http://www.shop99.co.jp/whatsnew/backnumber/139.html
(10) O-Baka Yashiki 牛乳パックコレクション http://www.gattaro.com/obaka/milk/milklist_a16.htm
(イラスト) (C) SweetRoom http://www.hisaz.com/sweet/


 侏儒の言葉の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2007 RandDManagement.com