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2007.11.2
 
 


生活者主権を掲げるのだろうか…

 本気?

 「政府の仕事のやり方というのは、どうしても生産第一という視点から作られてきた」から、「各省庁において持っております法律、制度、事業などを総点検をする。」(1)と総理が指示したという。
  → [Video]「官房長官記者発表」 」 (2007年11月2日午前)

 サラリーマン生活17年の首相だから、なにか感じるところがあったのだろうか。

 日本を生活者主権の国にしようと、“生活者の立場で考える行政府の設置”を提言したのは大前研一氏である。政治団体として動き始めたのは1992年の頃。
 細川内閣は一応生活者重視とか言っていたような気もするが、実質的には何もしなかった。その後は、ともかくハコモノをつくらせて景気回復を目指すだけ。
 潮流は変わるどころか、とんでもないケインズ論者まで登場し、お陰で財政破綻状態に追い込まれてしまった。もうどうにもならない状況と言ってよいだろう。

 この運動の結果、活動していた人達のなかから優秀な議員が誕生したという意味ではプラスだったが、冷静に見れば、日本を外国に売ろうという人を叩けといわんばかりのキャンペーンを誘発したともいえる。
 社会も市場も開放的にして、ヒト、モノ、カネの流れを活発にする方向に徐々に進んでいたのが止まってしまった感じがした。
 結果として、日本の政治はさらに生活者主権から遠ざかった。

 分析ベースで正論を唱えたところで、ヒトは動かないことはわかっている筈。
 ヒトは、論理ではなく、感情で動く。
 しかも、日本のマスコミとは、政策論争をさせず、政局話で読者を喜ばすことを第一義としているからなおさら。

 こんな状況で、福田首相は流れをつくることができるだろうか。

 ともかく、現在の行政システムとは、当該産業界の状況に合わせて適宜対応するだけのことで、原則もなければ、ルールなどゼロに等しく、場当たり的なことしかできないのだから、どうにもならない。

 しかし、一度、生活者主権を全面に出して動くことができれば、成果がさっぱりなら、政権交代に追い込まれるだけのこと。
 そうなれば、少しは進むかも知れない。どちらもたいしたことはできないが、政権についたら、互いの利権を壊し合ってくれればそれで結構。
 もっとも、党首会談で互いの利権確保の裏取引をする可能性も捨てきれないが。

 --- 参照 ---
(1)  官房長官記者発表速報 [2007年11月2日午前]  http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/press.html
閣僚懇談会におきましては、福田総理及び国民生活担当大臣から「安心で質の高い暮らしに向けた総点検」の指示がありました。・・・総理の方からは、いろいろなこれまでの政府の仕事のやり方というのは、どうしても生産第一という視点から作られてきたので、国民生活の安全・安心という視点が政策の重心になっていないんじゃないかと。 それが、耐震偽装問題とか、食品の不正表示問題を生んでいるのではなかろうかというようなことで、各省庁において持っております法律、制度、事業などを総点検をする。非常に幅広い総点検になりますので、来年の春を目途に取りまとめると。 そして、その過程で、急ぎ具体策を決め、実行しなければならないものについては、岸田大臣の手元で、各省協力をして、年内に具体策を取りまとめようということにいたしました。
(イラスト) (C)東京発フリー写真素材集 http://www.shihei.com/tokyo_001.html


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