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2008.11.20
 
 


沖縄の肥満原因を考えてみた…

 長寿社会沖縄の状況が変わりつつあると言われている。わかったような解説ばかり見かけるが、どこまで本当なのだろう。どうも腹落ち感がわかないのである。
 ともかくはっきりしているのは、沖縄が日本一の肥満県であることだけ。

〜沖縄県の肥満割合〜(1)
男性
沖縄46.7%
岩手41.2%
宮崎37.8%
Av.29.3%
東京27.3%
島根19.6%
女性
沖縄39.4%
福島38.2%
秋田37.9%
Av.26.6%
東京20.4%
石川15.8%
 データを見る限り、地域特性はほとんど感じられないが、沖縄だけがとびぬけている。(都会的な地域は肥満が少なく、東北に肥満県が多そうな感じは受けるが、特段の傾向はないようだ。)
 だが、脂肪エネルギー比率、野菜摂取量、歩行数、といった指標で見る限り、沖縄の数値が格段に違う訳ではない。
 常識からいえば、カロリーの摂りすぎが肥満の直接的な原因だと思うが、データから見るとそんなことも無いらしい。(2)
 それでは、一体、どういうことなのだろうか。

 カロリーを摂りたくなるとか、すぐに太る体質の遺伝子を持つ人もあろうし、頭で食べたくなってしまうなら肥ることは避けられまい。(3)社会の状況が、本能を刺激して、肥満が増えている可能性もあるのかも知れない。

 ただ、食に関する統計データが実態と乖離している可能性もないとはいえないし、生活パターンの違いの影響も小さいとは思えない。例えば、以下のようなことが言えそうだから。

体型が東京とはかなり違う感じがする。
   ・身長が高くスリムな人は少なく、概ね、がっしりした体格である。
売れ筋商品を見ると、油脂・砂糖分を多くとっていそうだ。
   ・単価が低い、大袋/大瓶/業務用缶的な商品が並んでおり、油・調味料の使用量が多そうだ。
    (本土の田舎のスーパーの品揃えと似ている。)
   ・チャンプルー系は炒め物としてはかなり油リッチになっている。
    (昔の油使用量はずっと少なかったのでは。)
   ・油揚げ菓子をよく食べる。
    (サーターアンダギーのこと。)
   ・脂が多い肉に人気が集まっている。本土より安価だから一回に食べる量も多そうだ。
    (三枚肉、コンビーフ、ランチョンミート、ベーコン)
   ・油味噌「アンダンスー」は食卓の定番品らしい。
    (味噌を豚脂で炒めたもの。自家用は三枚肉が入っているのが普通とか。)
   ・食パンにマーガリンを沢山つける食べ方が好きそうだ。
    (マーガリンは大型。本土とブランドが違うし、沢山つけがちな風味なのでは。)
   ・菓子パンから推定するとかなりの甘いもの好きである。
    (ピーナッツバタークリーム入り黒糖パンの砂糖まぶしという商品がある。)
   ・家庭の食事は子供が喜ぶ甘い味付の可能性が高い。
    (子供が多い社会である。)
暑いわりには代謝を活発にしそうな香辛料をたいして使わない。
   ・コーレーグースとヒバーチ位ではないか。
歩くことが極めて少ない社会だ。
   ・電車通勤通学族はモノレール利用の僅かな人のみ。
   ・暑いさなか、とても歩けるものではない。
   ・バスに乗る人は少なく、タクシーを多用する。
   ・車を所有していると、歩ける短距離でも車を使う。
沖縄独特な食のリズムがある。
   ・朝食はとらないか、簡素なものになりがち。
   ・昼食は格段に重い。
     -外食が多く、安くて量があるメニューが喜ばれる。
      (蕎麦のような低カロリー食のチョイスを欠く。)
     -油脂分が多い料理が好まれる。
   ・間食好きが多そうだ。
   ・夕飯はしっかりした食事にするようで、遅い時間になったりしがち。
   ・夜はお酒が入ることも多く、食事と区別しないので、長時間の食事になる。
   ・就寝直前に、酒やデザート類をとることも少なくない。
結構不規則な生活かも。
   ・タクシー利用のため、深夜まで続く宴会は結構多い。
   ・ボーリング、カラオケ、等々、遊びは盛んだから就寝時間は遅い筈。
   ・お祭ごとや行事が多く、特別な食事となることが結構多そうだ。
   ・雇用状況が悪く、働き盛り層の時間的余裕は少ないかも。
メンタル的にストレスや閉塞感が生まれ易い環境かも知れない。
   ・一族の法事や集落コミュニティ活動がまだまだ盛んなようだ。
    (那覇は大都会だが、都会型核家族社会になりきっていないかも。)
   ・気分転換の旅行の習慣はなさそうである。
    (外食が気分転換を兼ねていると思われる。)
   ・低質な住環境に我慢している人も少なくないかも。
    (所得水準は低いが、住居費用はそれに対応していない。)
気候的には亜熱帯に近い。
   ・本来的には長生きしやすい土地とは思えない。
   ・一般に、小太り型が多いのではないか。

 全体を眺めると、食事指導で解決する問題ではないような気がする。食については、個人に任せるべきなのではないか。
 そんなことより、余裕ある生活が送れるように、経済発展を狙うべきだと思う。簡単なことではないが。

 もっとも、日本は、「飽食」の時代の最終局面に達しており、これからは、法律で肥満を取り締まる「法食」の時代ということで、食事指導は致しかたないことかも知れぬが。

 --- 参照 ---
(1) 平成20年版「食育白書」資料編 内閣府政策統括官[2008.10.28閣議決定]
   http://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/whitepaper/2008/pdf_file/shiryo.pdf
(2) 「食習慣と栄養」 沖縄県保険医療福祉財団
   http://kenkou-island.or.jp/07kenkouzyouhou/tokusyuu6.html
(3) LAURAN NEERGAARD: “Brain's reaction to yummy food may predict weight” AP-Yahoo! [2008.10.16]
  http://news.yahoo.com/s/ap/20081017/ap_on_he_me/med_obesity_brain
  Podcast Interview with Eric Stice Science Magazine [2008.10.17]
   http://www.sciencemag.org/content/vol322/issue5900/images/data/449/DC2/449.mp3
(参考にしたサイト) 沖縄移住生活: 沖縄データ http://www.okinawaiju.net/data/
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