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2009.9.7
 
 


「ポメラ」論議が騒がしいらしいが…

〜 仕様 〜
起動 2秒
電源 単4x2本 (20時間)
希望
小売価格
\27,300
持ち運び
サイズ
ぶ厚い文庫本(A6版)
145x100x30
重量 370g+乾電池
キーボード 折り畳み (幅25cm)
モバイルパソコン並
表示画面 4インチ
モノクロ液晶(640x480)
反射型(バックライト無し)
プログラム 「メモ帳」類似
(8,000文字まで)
漢字入力 ATOK shift-JIS
画面表示 文字サイズ3段階
背景色黒白の2種
PC接続 USBかカード
(メモリとして認識)
記録媒体 microSDカード(2GB)
フォルダー不可
バックアップ
電源
コイン型電池
(乾電池交換可能)
 「ポメラ」(1)の名前が知られるようになってきたと耳にした。
 「テプラ」で知られる事務用品メーカーが2008年11月に発売した、テキスト入力特化のモバイル機器である。
 発売当時、この機器に関心をもった人達は、いわゆる、“小型デジタルガジェットファン”に限られていたのではないか。(2)
 IT系のニュースには登場したとはいえ、よくぞ、ここまでこぎつけたという印象がある。

 ただ、特殊な商品という訳ではない。ネットブックを使っている小生にしても、安価なら、すぐに購入したい手の商品なのだ。
 おそらく、日々モノ書きに迫られている人達が、高価でも欲しくなったということ。そんな人の数が思った以上に大きかったということではないか。

 しかし、名前が有名になったのは、そういうことではなく、経営の視点で成功の秘訣が話題になったから。この手の話は珍しくないと思うが、読者が好むので、メディアは飛びつかざるを得ないのだろう。
 なにせ、日本には、ニッチ商品ビジネスがしにくい仕組みの企業ばかり。従って、ニッチ商品で成功すると矢鱈目立つ。新機能満載品を買いたがる人ばかりの市場で、古い機能だけの製品でヒットさせたということになればなおさらだ。
 まあ、数多くの企業が、同じような新製品競争を続けられる訳がないから、少しづつ、そんなこともできるように変わり始めてはいるものの、たいていの企業は上から下まで、マインドセットされており、変身にはまだまだ時間がかかりそうだ。このままなら、変身が間に合わない企業も少なくないだろう。

 それはともかく、この製品、余りに単機能なので、往時の低価格ワープロを彷彿させるものがある。その一方で、PDAの雰囲気も醸しだしているから不思議だ。と言うのは、使い易くするソフトを、ユーザーが開発したからである。
 リスクはあるものの、テキストファイルを記録したメモリーカードを、携帯電話で使えるようにしたのだ。さらに、このファイルを読める携帯アプリも登場してきた。驚いたことに、青空文庫のファイルを使えるサイズに分割するプログラムまで。キーボードを開かないと電源スイッチが入らないから、余り役に立たなさそうなのに。
(小生が購入したPDAは、「ザウルス」の高額タイプ。エクセルが読め、携帯電話[PHS]64K接続で、メール送受信とウエブ閲覧ができる小型機器はこれ位しかなかった。パソコンと赤外線でファイルをシンクロできる点では便利だったが、ぶ厚い上に、ペン入力が面倒で使い勝手は悪かった。しかも、通信が電池を消耗させるので、始終充電。それでも、パソコンを持たない外出は少なくなかったから、結構使ったものである。)

 思うに、このような比較的高額な商品を受け入れる素地があるなら、電子ブックもやり方によっては日本でなんとかなるのかも。
 そんな気分で、「ポメラ」を買いたくなる人は、なにをしているのか、ちょっと整理してみた。
【ドラフト作り即時開始→何時でもすぐに中止】
  ・習慣的な作業を何時もと別な場所で: 業務日誌, 日記, ブログ
  ・その場で: 議事録, 気付きノート, 読後感想文
  ・空いた時間で: レポート下書き, メール文章
【即時書き込みんで保存→後で、必要になったら、即時読む。】
  ・メモ類: 購買リスト, 商品品番, 備忘録
  ・計画: スケジュール, TO DO リスト
【当座、読んでおく。】・・・「ポメラ」には向かないようだが。
  ・一寸空いた時間で: メール, レポート

 アナロジーで考えれば、“当座、読んでおく”ためのリーダー単機能タイプの機器もありそうな気がする。
 ただ、ビジネスマンは、PDFとMS Office[ワード/エクセル/パワーポイント]が必要だが。そうなると、ビューワー・ソフトを搭載することになり、パソコンと同じになってしまうかも。画期的な発想が必要なのは間違いなさそう。
 教科書や専門書用は、もっと難しいか。頁折込や書き込みをしたくなるし、何冊か同時に見ることも多そうだ。ロックがかかるUSBメモリにでもしなければ、紙ベースのように貸し借りもできそうにないし。

 日本における電子ブック事業はものの見事に頓挫してしまったが、この価格で「ポメラ」を購入する人が大勢いるのだから、なにかやり方がありそうなものだ。辞書ビューワーは廃れてないのだし、高価でも電子ブックが欲しい人が、かなりの数いるのではないか。先ずは、そこを突くべきでは。
 日本の一番の問題は、総論賛成の組織で普及を図る体質にあると思う。その上、参画者が本気になっても、古巣の組織の意向が同じとは限らないから、これまた厄介である。そんな状況でイノベーション創出に賭けるのは、そろそろ止めたらどうだろう。ニッチでも探し、堅く収益をあげながら、小さく進むしかあるまい。
 大きな構想がお望みなら、IC乗車券のように、アジアから始める手はどうか。
 いろいろ試せる力があるうちに挑戦しないと、どん詰まりでは。一端、縮小路線に入り込むと、挑戦どころではなくなるのが世の常なのだから。

 --- 参照 ---
(1) http://www.kingjim.co.jp/pomera/
(2) [Video] “#011 デジタルメモ「キングジム ポメラ」” STAPA VISON [2008年11月4日]
  http://video.watch.impress.co.jp/static/stapa/2008/1104/011flash.htm


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