■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.16 ■■■

   ウォンバット

ウォンバットは、木を降りたコアラのような動物とされている。丘陵地帯で地中に穴を掘って、昼間はそこで寝ているそうだ。草食だが偏食ではなさそうなので、動物園では飼い易そう。
有袋類ということでもっぱらコアラ似とされるが、穴堀というより、トンネル作りのプロだそうで、地中で寝ているそうだから巨大モグラと見なすこともできる。ただ、それは知識としての話。運動場で動いているのを見れば、丸々しており一見子供の熊のよう。しかし、よくよく見ると、短足胴長。草食だから、毛皮を羽織って水から出た超小型のカバとも言えそう。そうそう、ペット的雰囲気からいえばカピバラ君といい勝負。

餌の状況見た感じでは、もっぱら干草と人工飼料を食べているようだ。菜っ葉もあるが、どうも今一歩なのでは。チモシーなら故郷の香りがして生でなくても食べたくなるだろうが、南アメリカのパンパスに小松菜は異質感が漂うから致し方あるまい。本当なら、生のアルファルファが良いのだろうが、大きな動物だから、アペタイザー程度にしかなるまい。健康のためにはどうしても兎用ペレットを食べて頂かねばとなっていそう。さすれば、人参好きになっているかも。もっとも、兎もそうだが、どうせ甘党だろうから、ご馳走はイモに違いあるまい。それがウォンバット君の健康にどうなのかはよくわからぬが。
ただ、本来は夜行性。動物園の餌出し時間に合わせて、昼間起きざるを得ないから、可哀想な感じもする。しかし、見かけは、正反対。ぼちぼち食べたら、あとはのんびり過ごすという実にお気楽な生活をしていそうだから。暖かい日だと、抱き枕ならぬ、抱き丸太で台の上で日光浴を兼ねて気持ちよさように、幸せそうにスヤスヤと寝ているからだ。と言うことは、もともと暗いところが好きな訳でなく、カンカン照りで暑すぎるのはたまらん、涼しくなってから活動しようというだけか。
しかも、観客がやってきて五月蝿いから部屋に閉じこもるといった性格ではなさそう。結構、オープンな性格で、柔軟性があり。

そんなこだわりなき生活を送っていることが、長生きの秘訣かも。
なにせ、多摩動物公園のチューバッカ君は2012年現在で推定27歳だそうだ。平均寿命20年が本当だとすれば、とてつもなく可愛がられて育てられたことを物語る数字だ。
映像を眺めると、一人遊びも大好きなようだ。もっとも、麻袋で遊んでいるところを一度見かけただけだが。ともあれ、上手に気分転換をはかっていそう。ヒト付き合いも上手そうだし。自然から程遠い環境にもかかわらず、精神的にはストレスフリーなのだろう。

そうそう、飼育場の隅の三角コーナーで、穴掘りらしき活動をしているのを見かけたことがある。1mほどの丸太を転がしたりしながら。くつろいでばかりでもなく、突然思い立って、仕事をしようという気になることもあるようだ。一心腐乱で土を穿っていそううだったが、お尻しか見えないので、どんな顔でどんな風に作業しているのはわからなかった。
そんな調子で一晩中掘り進めることもあるのだろうから、楽に飼育できるどころか、穴埋め作業が大手間の動物かも。
もっとも、だからこそ、可愛いというものかも知れぬ。

オーストラリアでは、ウォンバットのサンクチュアリーと称した地域が設定されているそうだ。Billabongが典型ではないかと思うが、どう見ても観光資源として活用されているとしか思えない。コアラ君とウォンバット君を抱くプログラムを提供している興行に映るからだ。コアラ同様にヒトに懐く動物だからそんなことができる訳だが、それがどうしてWildlife Experienceになるのかはなはだ疑問。施設で繁殖して元の環境に戻そうという話でもなさそうだし。
動物触れ合い企画なら、飼い兎や飼い天竺鼠(モルモット)で十分だろう。野生動物を抱くなど、自然の生態をヒトの価値観に合うように変えようという動きにほかなるまい。はなはだ身勝手な、自称自然保護運動と言わざるを得まい。
この手の体躯の動物は、腹を撫でると大喜びするもの。それが家畜化の第一歩ということを学ばせたいなら、豚君やカピバラ君にまかせるべきだろう。

おわかりだと思うが、ここはチューバッカ君に会うために設定された場所。遊び道具ももっとあってもよいだろう。愉しみにしている好物も、折々あげることができるような支援の仕組みがもっと整うとよいのだが。当然ながら、アカカンガルーの扱いとは違うべきだし、多摩動物公園は見ただけでそれがわかるのが良い。「自然保護運動」の実態をわからせるには、この峻別はことのほか重要である。大喰らいのオオカンガルーを飼っていないのもよい。ご存知、野生カンガルー肉として日本でも食べることができる。そんな種を日本で繁殖させることに熱心な動物園もある訳だ。生物多様性と称する主張はピンキリ。もちろんキリだらけ。多様性を阻害するような、好みの種の維持を強硬に主張する人や、棲める環境でもないのに動物園で育てて自然に返す運動に熱心な方々が運動を主導しているのだからどうにもならない。

東京ズーネットBB>うごく!どうぶつ図鑑Vol.117[2012年10月]>ウォンバット「チューバッカ」27歳
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/1210_01/index.html
〜ウォンランドへようこそ〜 チューバッカの部屋[1999-現在]
http://www001.upp.so-net.ne.jp/womland/index1-j.html


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