■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.17 ■■■

   ユキヒョウ

2/22は猫の日ということを先月知った。いったいなんなんだと思ったら、ニャンニャンニャンなのだとか。

犬と違って、猫の手を借りることはできないし、しょっちゅう寝ていてグウタラなことこの上ない。気がのらなければ、どう呼びかけようと知らん顔。ところが、お腹がすいたり、遊びたかったり、暖かい膝の上に乗りたいと思ったら、途端にすり寄って甘えた声を出したりするし、どう思われようと欲しければ猫ババ。実に身勝手な動物である。
役に立つとは思えないが、犬より格段に頭が良いのではないか。

飼い猫の原種は、Felis silvestriesと名付けられたヤマネコらしい。昔からの以下の3種と言われているが、色々な説があるようだ。井の頭動物園にはアムール/ツシマヤマネコが飼われているが、イリオモテヤマネコも含め、すべてベンガルヤマネコと見なせるらしい。見た目には、ほとんど家猫と変わらない。その家猫だが、リビアヤマネコの改良種と見なされているようだ。その理由はわからぬが。
  ・リビアヤマネコ
  ・ベンガルヤマネコ
  ・ヨーロッパヤマネコ
多摩動物公園のサーバルなど、いかにも多少大きめの猫という感じ。こちらはアフリカのサバンナからやって来たそうだから、リビアヤマネコの仲間なのだろうか。

ネコの分類はどうあれ、ヒトに好かれるというか、尊崇の念まで抱かせる動物だったのは間違いなさそう。
鼠を捕るので家畜化されたというご高説は聞かされるが、動物園のネコ族を眺めるようになると、納得しかねるようになる。それに、少なくとも日本では、高貴な方々の家猫の時代が長かった。枕草子でも「うへに侍ふ御猫は、・・・」と来る。位まで頂いているのから、鼠獲り役をお勤めの筈が無かろう。
古代文明では、さらなり。ペットどころか、霊的な動物として崇められていたからだ。奴隷のように使役するなどもってのほか。カイロから267km南のナイル河東岸Beni Hasan遺跡では大量の猫ミイラが埋葬されていて、その数は膨大なものだったと言われている。ネコの墓まで、徹底的に略奪されたが、欧州では流石に売れなかったと見え、肥料やゴミになったようだ。(そんな話が掲載されている、日本語からは辿れない"Cats in ancient Egypt"@Wikiは面白い。)

前置きが長くなったが、どういう理由か定かではないが、ヒトの社会にはネコに魅せられる文化が定着しているということ。
動物園もその文化を踏まえて猫族の動物を飼う必要がある訳だ。ということで、ようやく、多摩動物公園の話になる。

小生の好みとしては、なんといってもユキヒョウ。ケージの場所設定が優れているせいもあろう。おそらく、公園内では一番寒い所ではないか。夏の強烈な暑さを避けることができ、雪彪君には最良。と言っても、ヒトも暑いのだから、苦しい季節だと思うが。
ただ、雪が降ればそう簡単に溶けない。故郷の気分になれるかも。しかし、凍り付いてしまうから、見物人のための雪掻きが必要となり、大変な作業がついて回ることになる。
もっとも、雪に大喜びかと思いきや、そうでもなさそうなのが面白い。飼育場には雪が残っており、滅多にない機会だから、雪を踏みしめて嬉しがりそうなものだが、全く逆の態度だったりして。足底にふかふかの毛がついているのに、慎重に雪無しの場所を選んで歩いている。雪無しの時より、活動が鈍っていそう。
これでは、雪彪の名が泣く。
よく考えると、このユキヒョウ君、降雪地帯からやって来た訳ではない。多摩生まれの多摩育ち。雪を見てビックリかも。
降雪当日は、ネコ族のことだから、振ってくる雪の感触を楽しんだりして、大いに遊んだろうが、積もった雪を楽しむ気分にはならないようだ。雪無しの方が良いやということか。

と言うことで、おわかりのように、ユキヒョウ君は動物園の繁殖動物化して久しいのである。しかも、グローバル化している。動物園における飼育のビジネスモデルということもできそう。それぞれの国や地域の考え方も違うし、パトロンの意向や、動物園の経営方針もバラバラだろうから大変な仕事だろう。
しかし、これが軌道に乗らなければ、ユキヒョウ君は動物園から消えてしまうことになり、実に寂しい限り。ご当人の意向を聞かずに判断するのは身勝手ではあるが、繁殖が上手くいくことを願うしかない。
多摩動物公園の系図のほどはよくわからぬが、どうも下記のようになっている模様。ネコ族だから、相性が重要そうだが、雰囲気作りも相当影響があるのではなかろうか。多摩動物公園は、その点では素晴らしい場所と言えそう。尚、一寸調べた感じでは、情報が錯綜しており、間違いが多いと思って見て欲しい。
今、ようやく仲良し3兄弟が成長してきたが、どこに行くことになるのだろうか。近親婚が避けられる海外との交流が積極化されるとよいのだが。

しかし、いかに繁殖で数が増えても、戻ることができる自然環境はおそらくどこにも無い。ユキヒョウ君は、動物園猫として生き続ける道しか残っていない。でも、お互いに遊ぶ合う習慣でもできれば、それなりの楽しい生活を送ることができるのではなかろうか。

系図を見ていてつくづく思うのだが、子供だと多少は見分けがつくのだが、少し大きくなると余りに似ていて、名前どころか雄か雌かも見分けがつかない。ユキヒョウ君達は臭いですぐにわかるのだろうが、ヒトにとっては厄介。末永くお付き合いすることになる訳だから、名前を覚えないと失礼とは思うものの、未だに誰が誰やら。三つ子が岩の上で揃っていると全く区別がつかない。それができるようになる前にスカイ君がいしかわ動物園に移動。十分成長したということで喜ばしい限りだが、皆で揃って遊ぶ姿がみれないのは一抹の寂しさを感じる。

−−−【♂シンギズ系】−−−
 ・・・・・・・・・
  父方祖父母 不詳(キルギス捕獲)-2000年カザフスタンAlmatyより
父親【@多摩】シンギズ[SHYNGHYZ/ZЧИНГИЗ](推定2001年)
 ・・・・・・・・・
  母曽 ♀ユキエ+♂ザルツ
母親【@多摩】ミユキ(1990@王子-2008年)+♂シンギズ
  1999年誕生 ♀マユ(1999-2012年)
  2003年誕生 ♀マイ@群馬サファリ、♀ミュウ@王子→東山@円山
 ・・・・・・・・・
  ヨシダ両親 ♀バイカ+♂イシュラン
  母方祖 ♀ミユキ(前述)+♂ヨシダ(1992年@東山)@群馬サファリ
    −−ミカ(1996-2004年)、マミ(1999-2006@東北サファリ)、マイケル@熊本(2000-2013年)
母親【@多摩】マユ(前述)+♂シンギズ
  2005年誕生 ♂アクバル@円山・♂シリウス@南紀アドベンチャーワールド
  2007年誕生 ♀マイヤ@アルマティ
  2008年誕生 ♀ミルチャ[海松茶]【@多摩】
  2011年誕生 ♀エナ【@多摩】・♀アサヒ【@多摩】・♂スカイ@いしかわ動物園
  ↓−−−孫世代@円山
  両親 ♂アクバル(上記)@円山+♀リーベ(2003年@ポーランドKrakow)@円山
  2009年誕生 ♀ユッコ@多摩・♂ヤマト@旭山
  2011年誕生 ♀リアン
 ・・・・・・・・・
  母祖 ♀ジャンガ@ポーランドPoznan+♂Chensi
母親【@多摩】 ♀SAMARA通称ユキ(1998@ポーランドPoznan-2010年)+♂シンギズ
  2005年誕生 ♀スピカ@熊本・♀カーフ@東山→浜松・♀Enif/エニフ@英Banham
  2008年誕生 ♂コハク@東山・♂スオウ/Suoh@英Twicross・♂Хан/ハン@Almaty
 ・・・・・・・・・
−−−【♂ヴァルデマール系】−−−
 ・・・・・・・・・
  祖父母 ♀NUPTSE@ヘルシンキKorkeasaari+♂MARC
父親【@多摩】ヴァルデマール[VALDEMAR/Вальдемар]
 ・・・・・・・・・・・・
母親【@多摩】 ♀通称ユキ(前述)+♂ヴァルデマール
  2009年誕生 ♂ユキチ@東山
 ・・・・・・・・・
−−−【♀】−−−
 ・・・・・・・・・
  母親 ♀Mira@オーストリアSalzburg+♂Shankar(1996年@仏)
【@多摩】 ♀ミミ(2009年)
 ・・・・・・・・・
【@多摩】 ♀ユッコ(前述)(2009年)円山から
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(東京ズーネット お知らせ)
ユキヒョウの「スカイ」が移動します. 2013年02月28日
(海外の関係動物園)
Lumileopardinpennut ensilumessa 26.10.2012@ヘルシンキKorkeasaari動物園(動画あり)  http://www.korkeasaari.fi/ajankohtaista/zoomissa/lumileopardin.pennut.ensilumessa
ニュース@カザフスタン Снежный БарсAlmaty動物園へ(動画あり) http://www.ktk.kz/ru/news/video/2009/7/9/4756
リリース@ザルツブルク動物園 Schneeleoparden誕生 13. Mai 2009 http://www.salzburg-zoo.at/Sensation-Nachwuchs-bei-den-Schnee.814.0.html
(参考にしたblog)
ユキヒョウのお名前紹介 2013年1月22日更新 雪豹 by G-Z jp-snowleopard.net
yukineko's favorites 多摩動物公園のユキヒョウ系図 2009.10.13更新
スウの日記(ひとりごと)ユキヒョウ個体名鑑まとめ 2009年09月19日


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