■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.23 ■■■

   シフゾウ

多摩動物公園の入り口から雪豹君のところまで歩いて行く時、必ず立ち寄るのが、バク舎とシフゾウ運動場。元気に過ごしているか、ご挨拶をするだけだが。
バク君は体が大きいし、体が大きいので見た瞬間「珍獣」以外のなにものでもないとなるが、シフゾウ君は、見かけは鹿の一種でしかない。広大な大陸のことだから、亜種は色々あるだろうということで、さっさと通り過ぎそうになる。ただ、その奇妙な名前は気になる。なにせ、漢字で「四不像」なのだ。
いかにもいわくありそう。そこで看板を見ると、角はシカ、頸はウマ、体はロバ、ひづめは牛との解説。こりゃまさしく珍獣。
とは言うものの、人気は今イチのようで、多摩動物公園が最大の飼育所で、広島の安佐動物公園と熊本の動植物園で見ることができるといった状況らしい。

それはそれとして、どんな動物か調べたくなる。オー、中国の伝説上の霊獣だゾ。
多摩動物公園の常識的な説明とは違い、体躯というか顔は馬、角は鹿、頚長は駱駝、尾端のK毛は驢馬とされている模様。しかし、霊獣の名前だと都合が悪いのか、中国では、もっぱら「麋鹿」という名称が使われている。・・・16世紀の古典小説「封神演義」に"姜子牙的坐騎"四不像として登場する動物なのである。どんな話か、浅学の小生にはさっぱりわからぬが、ゲーム化されていて、その界隈では良く知られているとか。これには、又、ビックリ。

ともあれ、現在のところ、動物園でのみ生きている種のようだ。もともとは、北京の清朝南苑で飼育されていたようで、当然ながら外部非公開だったが、それを密かにフランスが入手とのこと。相当以前にすでに野性的には絶滅していて、皇帝が保護していたということだが、結局のところそれも全滅したらしい。4つ足ならなんでもという中国食文化のことだから、権力の威光が利かなくなれば、保護などたちどころに反故にされるのは致し方あるまい。
ところが、幸いなるかな、英国貴族が密かに増殖していたそうで、種の維持ができたというのが真相。

その後、増殖がはかどり、今や、湿地の「保護区」には大きな群れが生活する状態にまでに。たまたま繁殖し易い動物だったということ。だが、いくら数を増やそうが、自然環境が昔のようになる筈もなく、人口稠密な中国で下手に野生化が進めば、ヒトの経済生活が脅かされかねず、問題発生につながりかねない。生物多様性キャンペーンに力を入れたところで、ヒトが生きていくことが最優先なのは当たり前であり、再び、喰い尽されてしまう可能性もなきにしもあらずだ。
まあ、そこまで危惧する必要はなさそうだが、どうやって、動物園や限られた地域内だけで、半飼育動物として生きてもらうか、考えるべき時期にきていそう。

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