■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.24 ■■■ チーター 多摩動物公園にはチーター一族が住んでいる。なんと総勢、22頭(♂13+♀9)。うち、4頭がブリーディングローンで和歌山県白浜のアドベンチャーワールドへ移動するという。名前は公開されているのだが、さて誰が誰やら。 ユキヒョウの個体判別は難しいが、チータも名前がすぐにわからない。キングチーターのように明らかに違えばわかり易いが、パッと見では皆よく似ている。よくよく眺めていると微妙な模様の違いがあるのはわかるのだが、なかなか大変。猫族は顔の表情でコミュニケーションをとらないが、ヒトはそれに余りに慣れているので、どうしても顔で見分けようとしてしまう点もある。子供だと、全体で見るから、少しは判別し易い。それに、親が走る姿を子供に見せて教えているのだが、子供はそれぞれ対応が異なり、そこに明らかな性格の違いが感じられるからでもある。 まあ、それにしても大家族である。家系図は全くわからぬが、以下のようなところか。 ---多摩動物公園来園--- ・2008年 ♀サバンナ(2004年@南ア) ・2007年 ♂カエデ(2002年@南ア-2010) ♀カスミ(2002年@南ア) ♀キキョウ(2003年@南ア) ♀ボタン(2005年@南ア) ・2004年 ♀スミレ(2003年@南ア) ♂エンジュ(2001年-2011)@秋吉台自然動物公園 ・2002年 ♂マンサク(2001年)@秋吉台自然動物公園 ♀ユリ(2001年@南ア-2008) ・2001年 ♀ジーナ(1991年@姫路セントラルパーク-2007) ・(2011年-富士自然動物公園) ♀コリナ(下記)@伊豆アニマルキングダム ---出産 [*:移動予定 K:キングチーター]--- <キキョウ> ♀キキョウ+♂カエデ ・2008年 ♂カイ,♂カケル,♀キララ@アドベンチャーワールド,♀キキ@同左 ・2009年 ♂ニーム[*],♀ソニア,♀リリー ♀キキョウ+♂カンガ(2009年@富士自然動物公園) ・2011年 ♂ギーマ,♂クルミ,♀リラ ・2012年 (♀),♂イブキK,♂シュレン <スミレ> ♀スミレ@富士サファリパーク+♂キリム(2003年@南ア)@同左 ・2009年 ♂カンガ,♀コリナ,2頭@富士サファリパーク ♀スミレ+♂カイ(前述) ・2011年 ♂キリ[*],♀ステラ[*],♀アイリス[*].♀ナデシコK ・2013年 ♂アスナロ,♂サツキ,♂フェイ,♂ファングK,♀アネモネK 最近は出産ラッシュで実にお目出度いことこの上なしだが、これ以前は、ずっと子供が生まれなかったのである。 メスの選り好みに会わないと繁殖できないし、両者を一緒にしておいても、上手くいかない等に気付いたのは、そんな昔の話ではない。Tim Caro のセレンゲティ国立公園でのチータプロジェクト(1980-1990年)のフィールド観察結果が報告され、新たな対応方法の検討が始まり、ついに繁殖がスムースに進むようになった訳である。 思うに、疾走する動物だから、家族で運動場で遊ぶ図というのが一番様になる。猛獣舎といった狭苦しい檻は止めて欲しいものである。多摩動物公園の施設より狭い施設はチーター飼育はあきらめるべきだと思う。日本の何処でどの様にチーターを飼っているのかよくわからないが、サファリ的施設では人気動物のようだ。(もっとも、寒いところは無理だろうが、一関近くの藤沢までは可能なようだ。)収益的に楽なビジネスとは思えないが、永続的な運営ができるように、協力しながら頑張って欲しいもの。 ---チーターを飼っているサファリ的施設(網羅しているかはわからない。)--- 岩手藤沢野生の王国岩手サファリパーク 野生の王国群馬サファリパーク 富士サファリパーク 和歌山アドベンチャーワールド 姫路セントラルパークサファリ&遊園地 秋吉台自然動物公園サファリランド 九州自然動物公園アフリカンサファリ <飼っていないと思われる施設> (ノースサファリサッポロ) (東北サファリパーク) (那須サファリパーク) ユキヒョウ君に戻るべき自然環境があるとは思えないが、チータ君ならまだ残っていると見る人もいる。しかし、どう見てもそれは無理筋。すでに草地面積が限定的だから、草食動物の数が十分ではない上、この先、今の環境さえ維持できるのかも疑問だからだ。つまり、熾烈な肉食獣間の競争に晒されている訳。そのなかで、チーター君はどうみても劣勢。人が助けない限りいずれ消え去ることになろう。自然に返すとはそういうことでもある。従って、人工的なサファリに棲んでいける体制を準備しておくにしくはなし。 もともと、氷期の終末に絶滅しかけたそうで、少数の生き残りから数が増えたらしく、遺伝子多様性を欠くモノクローンに近い動物だという。さらに、近縁での繁殖も進んでいそうだから、常に絶滅リスクに晒されていることになる。そんなことを知ると、この先もなんとか種の維持ができるよう祈るばかり。 なんとなくではあるが、多摩動物園のチーター君達は人馴れしているような感じがする。ヒトが少ない時に、うろうろ歩いていると必ずといってよいほど、動き始めるからだ。いかにも猫族然と言ったところ。好奇心旺盛で、お遊び大好き動物なのは間違いない。斜面の上のほうで横になって知らん顔をしているくせに、他に関心の対象が無いと、気になると見え、観客側に寄ってくるのだ。崖から下に降りんばかりの場所まで来たり、木に登ったりとなかなかの歓迎振りである。玩具でもあれは、暇つぶしができて楽しいだろうが、ヒトと違って好みが個体毎に違いそうなので、簡単にできそうにないのが難点。それに飽きれば見向きもしないだろうし。なかなかの知性の持ち主で、皆で、遊ぶのが大好きとくる。 これからの時代、こうした社交性こそ種維持の重要な技。多摩動物園はそんな技を学ぶ学校のような場所としては最適ではなかろうか。 (ニュース) チーター4頭が和歌山に移動します[2013/03/01]東京ズーネット ニュース (チータープロジェクト関係) Laurie Marker: The Cheetah: A Race for Survival, The LIVRARY of CONGRESS WEBCAST "About the Cheetah-Race For Survival" Cheetah Conservation Fund[邦訳なし] 多摩動物公園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |