■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.25 ■■■

   サーバル

多摩動物公園のサーバル君は、チーターの向かいに陣取っているので、観客は比較して眺めることになる。家猫よりはずいぶんと大きいとはいえ、チーターのような派手な動きや、観客に猫的な目を合わさずガンをつけるような所作に巡り会うことは稀。たいていは、くつろいでいるだけで、たまに、うろうろと檻の中を歩いていことはあるが、観客にはなんの関心も示さず、無視を決め込んでいる。いかにも面白くない生活なので、徘徊しているんだゼとのシグナルを送っている風情。ただ、ダラダラ状態ではなく、緊張感は失っていないようだ。
そんな調子なので、たいていの人はチーター君達をじっくりと眺めたあと、檻の中にサーバル君の存在を確認すると、すぐに通り過ぎていくようだ。

しかし、この名称はスペイン語で猟犬だそうだし、説明書によれば素晴らしいジャンプを見せてくれるというのだ。肉の臭いを感じると、狩の本能が立ち上がり、性格が一変するということなのだろう。
ということで、歩く様子をじっくり眺めていると、足がスラリと伸びていることに気付かされる。本当は、早足で敏捷に動くのが大好きなのかも。安穏と暮らすブデブデとした家猫とは大違いで、精悍そのもの。
そんなこともあるのか、馴れるとはとうてい思えなにもかかわらず、人気の高級ペットでもあるらしいが、無理筋ではないか。

そう思うのは、樹上だから安心と油断している鳥や小動物を一気に襲う手の猫のようだから。獲物が気付いて逃げ出しても、一気にジャンプして捉える能力があるのだと思われる。そんな運動神経に応えた飼いかたをするのは、簡単ではなさそう。
それにそんな狩りに好都合な狩場とは、おそらく、水場周辺。そんな環境を提供するのは難しかろう。
檻内の環境設計はそれとは一寸ばかり違う感じがするから、これは素人考えかも知れぬが。

こうして、多摩動物公園の猫族を眺めてみると、なかなかのもの。飼育種の数はこの程度で抑えて、運動場を良くしてあげるのが、観客・動物の両者ともに嬉しいと言えそう。

多摩動物公園でのネコ族の扱いは秀逸と言ってよいのではないか。なんといっても、鮮明な考え方がわかるのがよい。
 ○アジアゾーン
  ・虎(アムール)・・・崖風の展示場
  ・雪豹・・・岩山風運動場と展示檻[繁殖拠点]
 ○アフリカゾーン
  ・ライオン・・・サバンナ風放し飼い
  ・チーター・・・運動場とガラス部屋
  ・サーバル・・・ジャンプ可能な高さの檻
ちなみに、代表といえば上野だが、こちらは、多種を誇る歴史は捨てられないようだ。面子ということだろうか。とはいえ、珍奇というだけで展示種類を増やすのは止めにしたようだ。しかし、鵺的な方針に映る。
 ○ゴリラ・トラの住む森・・・両者はどういう関係なのかネ。
  トラとライオンの運動場は素敵。眺め易い。
  もっとも、お陰で、皆始終寛いでおり、大いに満足そう。
  野生本能発揮という状況からは程遠いが長生きしそう。
  ・虎(スマトラ)[繁殖拠点]
  ・ライオン(インド)
 ○夜の森・・・夜行性を見せる労苦はわかるが。
  ・ベンガルヤマネコ[繁殖拠点]
 ○小獣館・・・どういう基準で選択したのかさっぱり。
  ・マヌルネコ・・・お顔が面白いから、人気ありそうだが。
もちろん、井の頭は限定的な飼育にならざるを得ない。いかのも独善的な主張が飛び交いそうな場所柄の立地だから大変である。リスの森など、鎌倉ならいざしらず、こんな場所にできる訳もなかろうと思うが、そうはいかないのだろう。そもそも、マンションに囲まれれ、駅近だから駐輪場化も進んでいるような、単なる多用途一般開放公園内の施設でしかない。ここは、いかんともし難いものがあろう。
しかし、ネコ族を飼っているのである。もっとも、それは繁殖事業。浅学の人間にとっては、どうして、こんな場所で行なわなければならないのかは理解不能。
それに、いくら眺めたところで、家猫(どちらかと言えば肥満タイプか)との違いはトンとわからない。
  ・ツシマヤマネコ[繁殖拠点]、(ベンガルヤマネコ)

どうも、猫族は、生態がわかっていない種だらけ。個性がありそうな種であり、食べ物の好みも、個々にありそうで、僅かな観察データに基づくお話が多そう。夜行性とされているのに、昼行性活動が報告されていたりと、素人にはよくわからん。
従って、素人目線で分類するのが一番。そうして、アフリカの平原の、(といっても潅木もある訳だが)猫族を眺めると、多摩動物公園の飼育動物と運動場設計はかなり優れていることがわかる。重要な3種に絞りこんで、的確な見せ方になっているからだ。・・・1に、体力で強引に大きな獲物を倒す"群れる"ライオン、2に俊足で中型の獲物の急所を噛むチーター、3に機敏な行動とジャンプで小型の獲物を仕留めるサーバル。

---素人の猫族分類---
  【恐竜時代を彷彿させる猫】
<牙型剣歯保有大型系>
   長い牙。大量出血で仕留める。
 ・"化石"[サーベルタイガー;Smilodon]
 ・雲形模様中型[ウンピョウ]
【現代ネコ族の祖先タイプ】
<古代小型猫系>
   犬歯程度で急所を刺す。
   部位処理せず食すという古典的文化。
 ・"化石"[メタイルルス;Metailurus]
 ・西表島[イリオモテヤマネコ]
 ・チリ[コドコド]
<準古代小型猫>
 ・東南アジア[ベンガル]
 ・北東アジア[アムール/対馬]

  【発展系】
<森展開小型猫のまま>
 ・北米[ボブキャット]
 ・南米-樹上生活[マーゲイ]
<森展開だが中型化>
   猫本来の樹林帯棲持続。
   耳先毛で聴力向上を図っていそう。
   家猫似の点もあるが、飼い馴らせない。
 ・リンクス系[カナダオオヤマネコ、ヨーロッパオオヤマネコ、スペインオオヤマネコ]
 ・アフリカ/中東[カラカル]

  【脱森林棲み分け】
<平原棲:群棲大型>
   大型動物狩りが主体なら家族小集団はありうるが、
   一般には、猫族は単独狩りなので、群れを嫌う。
   雌雄の役割分担で、群れを形成するのは特殊。
   力で獲物を倒す。
 ・ライオン・・・群れることで生き延びたのか。
 ・類似"化石"[ケーブライオン]・・・群れない。
<平原棲:俊足大型>
   小頭で、爪が引っ込まない(スパイク型)のは珍しい。
   急所噛みか、背骨折のような一発技の狩り。
 ・チーター
<平原棲:ジャンプ小型>
 ・サーバル
<水辺/茂み棲>
   一般には、猫は濡れるのを嫌うとされる。
   しかし、泳いだりする猫は少なくない。
 ・アジア各地-大型-打撲狩猟[トラ]
 ・マレー/スマトラ-小型-水生動物食[マレーヤマネコ]
 ・南米-大型[ジャガー]
 ・インド/インドシナ-小型-漁[スナドリネコ]
 ・西アジア/アフリカ-小型[ジャングルキャット]
 ・中米/南米-カワウソ的[ジャガランディ]
 ・南米-樹上活動中心[オセロット]
<冷涼域棲>
 ・中央アジア高地岩場[ユキヒョウ]大型
 ・ゴビ砂漠/ヒマラヤ岩場[マヌルネコ]小型
 ・アンデス岩場[アンデスネコ]
<乾燥地帯棲>
 ・アジアの砂漠/ステップ[ハイイロネコ]
 ・サハラ/アラビア/パキスタンの砂漠[スナネコ]
 ・南アフリカの暑い砂地[クロアシネコ]
<様々な環境に適応>
 ・アフリカ/アジア-大型[ヒョウ]
 ・北米/南米-大型[ピューマ]
 ・南米[パンパスキャット/パジェロ]
 ・南米[ジョフロイネコ]

  【よくわからず】
<大理石模様>
 ・[マーブルドキャット]
<黄金色(無模様単色の場合も)>
 ・[アジアゴールデンキャット]
 ・[ボルネオヤマネコ]
 ・[アフリカゴールデン]

  【色変わり[ヒトにとっては鑑賞用]】
<アルビノ(白化)>
 ・白虎(模様が残る場合も。)
 ・白ライオン、等
<特殊な縞模>
 ・キングチーター
<無模様黒単色>
   ・黒ジャガー

そして、様々な【家猫】となる訳だ。


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