■■■ 多摩動物公園の見所 2013.3.31 ■■■

   ムフロン

今回は、反面教師的な見所。
ムフロンは高山の乾燥地帯に棲んでいる羊の仲間である。ウリは、家畜の元祖とされている点。多摩動物公園ではアジアゾウ舎近辺での展示。従って、アジア産(トルコ-イラン−アフガニスタン)かと思いきや、欧州産(コルシカ島やサルジニア島等地中海沿岸)。と言うことは、本来ならアフリカゾーンの動物として扱う方が妥当。

とは言うものの、写真で見る限りでは、両者にたいした違いはなさそう。亜種とされてはいるものの、それほどの差はないのかも知れぬ。
体が小さくて飼い易いから非アジア種が選ばれたのかも知れぬが、地域ゾーンコンセプトを壊しかねないから、ここはアジアムフロンにして欲しかった。それが無理なら、アフリカゾーンか他動物園へ移動すべきだと思うが。

この手の動物は、餌をくれそうなヒトと判断した場合や、どうも油断ができない変わった輩だと感じた時、その対象をじっと見詰め続ける体質。観客が関心を持っていそうな態度を示すと、寄ってきたり、遠くからじっと観察し始める。一度気になると、ネコ族と違って飽きたりせずに、固まったりする。それを可愛い仕草とみなすか、鋭い眼光が怖いと感じるかは人による。言葉では前者と語る人が多そうだが、長く眺めて楽しんでいる人は滅多にいないようだから、実際のところは後者が多いのではなかろうか。

一頭のちょっとした動きがすぐに伝播するところを見ると、いかにも相当大きな群れで生活していたご様子。そんな体制の社会にあわせる如く、雄雌の違いは体躯の大きさ程度でしかなく、混ざりあって生活しているようだ。仲間争いも避けていそう。繁殖時期は別だろうが。
結構丈夫そうであり、繁殖に力を入れたりすると、すぐに百頭の群れになりかねない気もするが、どうなのだろう。もともと、そんな能力がかわれ、家畜化の対象に選ばれたのではないかと思うが。

それにしても、個性というか、個体識別が難しそうな動物である。赤ん坊の時は、大きな群れではないから誰だかわかるが、成長して角が生え揃ってしまえば、角はもちろん、顔形や、体型のどれをとってもほとんど同じになってしまう。せいぜいが大きさの差。群れのなかで目立つと捕殺リスクが高まるので、個性を抑えるようにしているということなのだろうか。
その辺りがバイブルの民に気にいられたということかも。一方、日本では、山羊は好まれたが、羊は余り好まれなかったようである。
家畜系の羊を触れ合い動物として投入したり、品種改良した種を展示している動物園もあるようだが、日本文化を考えると、そんな必要は無いと思う。触れ合うなら山羊にすべきである。もっとも、今の子供は、羊と山羊の違いもわからない状況かも。なにせ、ハムスターとモルモットを同じ動物と思っていたりするのだから。と言うより、ホームセンターの980円特売品でしかないかも。

もっとも、ムフロンは羊なのか、山羊なのかときかれると、知識として答えることはできるが、両者の概念的な違いがわかっている訳ではないから、同じようなレベルである。要するに、雄に髭がないから山羊ではなく羊というだけ。ただ、直感的に山羊ではないと言い切れる点もある。チーズでおわかりのように、山羊は、糞なのか体臭なのかわからぬが鼻が曲がりそうなただならぬ臭気を発するからだ。ムフロンの場合、柵の間近に来ても、臭いはあるものの、アー、山羊ではないなとなる訳である。家畜ではないから、飼育員さんにしょっちゅう洗ってもらっている訳でもないだろうし。もっとも、そんな見方で山羊でないと判断してよいのかはなんとも。


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