■■■ 多摩動物公園の見所 2013.4.5 ■■■ コツメカワウソ 以下は、東京ズーネット「どうぶつ図鑑」の多摩動物公園で飼育している食肉目動物。 ネコ科(アムールトラ サーバル チーター ユキヒョウ ライオン) クマ科(エゾヒグマ[+上野]) アライグマ科(レッサーパンダ[+上野]) イタチ科(−) アシカ科(−) アザラシ科(−) イヌ科(ホンドタヌキ) マングース科(−) ジャコウネコ科(ハクビシン[+上野/井の頭]) これは、古いリストなのだろうか。 イタチ科としては、バードケージ入り口横に、寝てばかりいる2頭のアナグマ君達と並んで、コツメカワウソの"ゴンタ"ファミリーが居ついているからだ。もちろん、園内マップにもイラスト付きで紹介されている。 イヌ科でも、虎母子の家のすぐお隣に、オオカミ一家が住んでいる。群れ動物とされるが、それぞれバラバラと寝ているだけのことが多い。もっとも、ちょっとしたきっかけで観客に反応して動き始めることもある。もちろん、突然、ご近所中に聞こえる騒がしさで、派手な喧嘩を始めることも。かなりの怪我を負わせるまで止めない、こまった輩である。新居計画中ということで、展示取りやめになっており、騒動も一段落か。 ついついこんな話をしてしまうのは、カワウソもオオカミも日本では絶滅してしまったから。オオカミはそうとう昔に希少化していたと思うが、カワウソは江戸期の頃はそこここに棲んでいた動物だった筈。シーボルトが間近で見かけた記録を残していている位だ。カワウソや 川に飛び込む 水の音 と言ったところ。日本の状況を知り、カワウソや 皮が生み出す カネの音 と推敲し直したかも知れぬが。まあ、いかにも獲り尽されて絶滅するのは時間の問題といった感じである。 確か、ニホンカワウソは天然記念物と冠されていたと記憶するが、小生のような素人から見ると、とうの昔に絶滅していそうな動物に今更そんな名称をつけても意味が薄いと思うのだが。正直のところ、ようやくにして、絶滅"国家"認定が下りたという印象である。もっとも、そんなことを言うと、絶滅の証拠もないのにいい加減なことを言うなと烈火の如く怒る人がいそう。 しかし、そんな見方の方が常識外れとは言えまいか。 森に住んでいる動物とは違うのである。低温の水中での生活時間が長く、魚獲りは運動量も多い。エネルギー消費がすさまじい筈で、大喰らいにならざるを得ない。魚影が薄くなってしまった日本の川で食べていけるとは思えまい。もしも、生きていれば、魚が大量に飼われている場所に侵入して大暴れとなるは必定。 ・・・おそらくそんな時もあったのである。ただ、見つけ次第撲殺されたに違いない。もっとも、魚の大群が一箇所に集まっているのを見て歓喜雀躍し、網に足がからまって溺死の憂き目の方が多かったかも。下衆の勘ぐりかも知れぬが、どんなものか。 多摩動物公園のカワウソを見ていると、すばしっこそうだし、悪戯好きなのは間違いないのでは。それを可愛いと見るか、ワルでけしからん動物と考えるかは人による。 飼われているのはコツメカワウソで、東南アジアに生息する種。日本の動物園で一番ポピュラーらしい。ユーラシアカワウソとカナダカワウソも多いから、アジアコツメカワウソ表示の方がよさそうだ。そう感じたのは、コツメカワウソがどんな位置付けか、分類表が掲示されていたから。(出典ともども内容は忘れたが。)Wiki英文版ベースで並べると以下のようになる。Wikiでわからない和名は多摩動物公園で見たものを使用したが覚え間違いもあるかも。ただ、残念なことに、掲示表にはニホンカワウソは記載されていなかった。しかし、その一覧表にはレッドリストのランクが示されており、ほとんどが絶滅化まっしぐらであることがよくわかった。カワウソと始終一緒にいれば、その辺りが一番気になるのは当然の話だろう。 --- カワウソの皆さん/otters --- 【爪無系】 コンゴツメナシカワウソ/African clawless otter (アジア)コツメカワウソ/Oiental small-clawed otter (ツメナシカワウソ) 【海棲】 ラッコ/Sea otter 【カナダ系】 カナダカワウソ/North American river otter, チリカワウソ/Southern river otter Neotropical river otter ミナミウミカワウソ/Manne otter 【カワウソ主流】 ユーラシアカワウソ/European otter スマトラカワウソ/Hairy-nosed otter) [ニホンカワウソ/Japanese otter] 【上記の一派】 ノドブチカワウソ/Spotted-necked otter 【毛皮系】 ビロードカワウソ/Smooth-coated otter 【特別】 オオカワウソ/Giant otter 全体観としては、地理的な2つのグループというところかナ。学問上はどうなっているのかは知らないが。・・・ 「ラッコ」を含めた欧州-アジアに、余り発展性がなかったアフリカを加わえたグループ1と、南米-北米のグループ2。 ただ、これに例外が加わる。体長2m・体重30kgというオオカワウソだ。単に体が大きいという話でなく、古代性を感じさせる種という点で別扱いすべきだろう。テレビ番組によれば、ピラニアが好物。天敵たるワニを集団で襲って食べるというから仰天。 尚、ウエブを眺めた印象だけの話だが、日本では、カワウソへの関心はいたって低調。ニホンカワウソ友の会の蔵書リストを見ても古い本ばかり。Wikiの記載内容も英文版と比較するとずいぶん貧弱である。Otter Trust(英)、Otter Zentrum(独)、River Otter Alliance(米)のような組織も日本には無いようだし。 ただラッコは大人気。しかし、カワウソとの認識はなかろう。日本から遠いケルプの海に住む動物と見なしていそうだ。この名前はアイヌ語だと耳にしたことがあるし、たとえそればガセネタだとしても、日本在住種としても扱うべき動物だと思うが、どうなのだろう。海辺では害獣扱いされるのは間違いなさそうだし、日本にはとても棲めたものではないだろうが。 さて、多摩動物公園のコツメカワウソファミリーだが、活発に動いている時(開園直後)に行くと観客もいないしじっくり眺めることができる。狭い運動場に大勢が右往左往状態で、落ち着きに欠ける動物とも言えるが、様々な仕草をするし、結構、個性があるので、見飽きない。ただ、名前がつけられていても、誰が誰やらさっぱり。どこにも模様は無いし、ファミリーだから顔つきも良く似ていて、いくら時間をかけても違いは見つかるまい。ただし例外もある。いかにも親爺臭い仕草をしているのが居る。それが、このファミリーの父親なのか、たまたまバタバタするのが嫌いな性格というだけなのか、なんとも言えないが。 不思議なのは、ガラス越にしばらく見ていると、木を伝わって、次々に目の前までやってきたりすること。まるて挨拶しているかの如し。飼育員さんの指導かね。ともあれ、人懐っこさが植えつけられているのは間違いなさそう。 寝姿しか見れないことが多いが、互いにもたれ合っており、気持ちの良い体勢の取り合いをしている風情紛々。片方は我慢していそうで、実に面白い。餌密度から見て、自然では大家族制度は無理な筈で、狭いところでひしめき合う習性があるとも思えないが、ここでは、ファミリーメンバーが好き勝手に互いに動き回ることを結構楽しんでいそう。 最近は、水中の動きを見せる展示方法に力を入れている動物園が多いが、小動物用だと掃除が大変そう。小生はそこまでしなくてもと思う。多摩動物公園は狭い運動場しか与えられていないが、それでも水中活動もわかるし、木登りや玩具で遊んだりしている姿を見ることができ、そんな工夫は好感が持てる。それに応えて、カワウソファミリーも頑張っていそう。その仕事振りへのご褒美として、活き魚をあげたくなる人も少なくないのでは。 【ご参考:シーボルトの著作】 斉藤信 訳:「江戸参府紀行」1967年 平凡社[東洋文庫]・・・pp67: 出島を出発して以来、私は何匹かのイタチやウサギ以外に野生の哺乳動物を見たことがなかった。今日は一匹のカワウソが私のすぐ前から小川へ飛び込んだのでビックリした。---//---日本人は、---//---口から頭部を通って尾の先まで少しも切り損なうことのないやり方で皮をはぐ。[@北九州 1826年] 栗原福也 編訳:「シーボルトの日本報告」2009年 平凡社[東洋文庫]・・・pp97: 自然物収集品リスト(1824年11月26日)---//---剥製哺乳動物---//---阿波産カワウソOtarisの毛皮1枚、蝦夷産カワウソOtarisの毛皮1枚、ラッコZeeotterの毛皮2枚 pp163: 1825年に発送した希少な自然物リスト---//---カワウソOtterの毛皮2点 pp272: カワウソやアザラシの皮、---は蝦夷から入手--//---日本産哺乳動物は数少ない---大部分が、カワウソ、イルカ、サル、クマ、アナカマ、タヌキ (東京ズーネット ニュース/うごく!どうぶつ図鑑) コツメカワウソの子どもたち、元気に成長中 2010/12/21 元気なコツメカワウソ一家 2010年07月23日撮影 オオカミの展示を一時中止します 2013/03/01 (ウエブリソーシス) カワウソを飼育している国内の動物園・水族館一覧(2008.10月現在)ニホンカワウソ友の会 (NHK) ダーウィン図書館302回ワニと対決!オオカワウソ大家族 [ダーウィンが来た!「世界最大のカワウソ 家族の絆に迫る」 放映2013年1月27日] http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/detail.cgi?sp=p302 多摩動物公園の見所−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |