■■■ 多摩動物公園の見所 2013.4.10 ■■■

   シロオリックス

多摩動物公園アフリカゾーンには、サバンナを模したという赤土の運動場がある。ここに、草食動物が同居している。キリン、シマウマ、シロオリックス。この他、ペリカン、ダチョウ、シュバシコウも。
長い首で薄黄色に茶色の網目模様のキリンと、長い角で首下を除いて全身白色のシロオリックスが小さな群れでかたまっていて、そこに一頭シマウマが歩いていたりするのは絵になる。高台からのんびり眺めるのもおつなもの。ダチョウは一寸不調和な感じだが。まあ、美的感覚は人によって違うのでなんともいえないが。

ヒトから見れば、それなりに広い場所だと思うが、そこに肉食獣ではないものの、草を食べるということでは競合する筈の動物と始終一緒にいる訳で、シロオリックス君はどう感じているのだろうか。
草原を群れで駆け抜けて次の餌場に移動する姿を、どうしても想像してしまうが、そんな風情はまるきし見せようとしないし。

ただ、この3種はアフリカの草食動物の代表選手と言ってよさそう。なかなか鋭い選択である。たまたまなのかも知れぬが。
 シマウマはもちろんウマ族の代表。
 キリンはキリン科とされているが、シカ族の代表。
 シロオリックスは、ウシ族の代表。
こんなことを子供達に言うと、必ず笑われる。この誤解を解くのは、おそらく骨だが、それをするだけの価値はある。模擬サバンナ展示でこそ、できることでもあるし。
まず、キリンだが、見ればすぐわかるように、頭の天辺に表面がふわふわしていそうな角らしきものがある。そう、それは鹿特有の角の生え変わり初期段階の、盛り上がり角と瓜二つ。
一方、シロオリックスの角は全然違う。こちらはウシ族の角。と言っても、子供は理解できまい。たいていは、子供に馬鹿にされる。あれは鹿に決まっていると言うだろう。しかし、鹿族の角は枝分かれしていて、ウシ族のよう一本が伸びる形にはならないのである。そう言われても、子供は信用しないかも。
何故かといえば、映像で牛に見えるのはヌーだけで、トムソンガゼルやインパラは、角が直一本型のようだが、飛び跳ねる様子から鹿の仲間と思い込んでいるからだ。おそらく、バンビ映画の影響である。それに直一本角にもかかわらずニホンカモシカと名付けていることも、その誤解を定着させた原因の一つだ。いまさら、ニホンカモウシに改名する訳にもいかないから致し方ないが。
そもそも、西洋には「角」なる概念は無い。シカとウシでは全く違う突起物と見られているからだ。従って、両者を同族と見なすことなどあり得ないのである。一回、この話を耳にすれば、子供でも知識として頭に入る筈である。納得するかはなんとも。
まあ、シカ族とウシ族のどちらが優位そうか、角という視点で考えてみるとよいかも。それが、アフリカではシカ族が繁栄できなかった理由そのもので、素人にはすぐに想像がつく。

それにしても、シロオリックスの角は惚れ惚れするほど見事。ヌー、トムソンガゼル、インパラと比べても、頭抜けている。
角を前面にして群れで向かってこられたら肉食獣といえども、即、立ち去るしかなかろう。それなりの重量があるから、突進されでもして、刺されたら致命傷間違いなしだから。
と言うことで、群れから離れることは、即、死への道をまっしぐらというのが自然の掟と思われる。ところが、恐怖シーンなど全く無い動物園だと気が緩むのか、群れから外れてキリンやシマウマの傍らで、緊張感無く佇んでいる姿も見かける。ヒトから見れば両者がおだやかにすごしている情景そのものだが、群れている側にしてみれば、よそ者が傍にいる訳で面白い筈がなかろう。
いや、その見方は間違いで、動物園生活が長くなると、仲間意識が芽生えるということもあるのだろうか。小生はにわかには信じがたいが。


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