■■■ 多摩動物公園の見所 2013.4.14 ■■■

   トナカイ

トナカイの剥製や角飾りは、時々見かけることがある。余り良い趣味とは思えないが、狩猟好きの方々にとっては見ているだけで嬉しくなるものらしい。
生身のトナカイ君にはそうそう会えるものではないが、多摩動物公園なら、ウロウロしていたり、草を食んでいる姿を眺めることができる。赤い鼻かと思いきや、褐色である。掲示にも、そんな話がでているが、日本の常識ではメディアによる「お話」ということ。しかし、それは、日本だけで通用する見方かも。写真を見ると、本来の棲み処である極寒の地で動き回っている時は、確かに赤くなっているようだから。毛細血管が発達していて、そこを赤血球が勢いよく流れることで、鼻腔を暖める必要があるとのこと。この機能が弱いと脳の温度が下がってしまい大ピンチとか。ツンドラは赤鼻動物だらけとも思えないので、にわかには信じがたい説だが、他の理屈も考えづらいのは確か。

多摩動物公園では、北極圏のツンドラ地帯に棲む動物にもかかわらず、暑さに慣れていそうなエミューと柵一つ隔てた場所で暮している。いかにも辛そう。本来は毛深くなる動物だと思うが、そんな感じがしないのは、毛が落ちているからか。汗をかくとは思えないないが、薄毛にならないと、湿度が高い環境だから皮膚炎を患うことになりかねないのではと心配である。
なにせ、人間が結構暑い日だなと思っているにもかかわらず、日向を歩いたりしているのだ。それが勤めと考えているのかも知れぬ。実に殊勝な動物である。そんな我慢強さが、家畜化された所以かも。ラップランドではえらくヒト慣れしていると聞いたことがあるし、野生であっても飼ってしまえばすぐに家畜同然になるのかも。

それにしても、園内のこの場所は、オーストラリアの動物ゾーン内の感じが否めない。そこに北極圏の勇士というのはなんとなく場違いな感じだ。都合でそうなっているのだろうが。
飼育員(兼キュレーター)の方もその辺りは心得ていると見え、色々と工夫されているよだ。クリスマスにはトナカイの角のリース飾りがかかるし、シフゾウとヤクシカの角との実物比較展示をすることで、「我々は鹿族ですゾ」と声をあげているように見える。他の鹿は園内では離れた場所にいるから、確かにその位しないと。
まあ、トナカイ君のウリはなんといってもこの角である。
ただ、角が落ちる時期がある。そうなると、堂々たる姿とは似ても似つかぬ姿となり果てる。すると、本人も気落ちするのか、心なしか元気が無くなるようだ。単位、季節感だけの可能性もあるが。
角は、ツンドラの地表を掘り起こし、食べ物を探す道具でもあるそうだ。放牧で懐かせる為の切り札は塩らしいが、土壌からのミネラル分を摂取する必要もあるのだろう。動物園ではどう対処しているのだろうか。

(記事) トナカイの鼻が赤いのは…「寒空に必須」毛細血管が発達 朝日新聞デジタル 2012年12月21日11時59分
(コラム) トナカイの鼻が赤い理由 World Animal & Nature report なきごえ Vol.40-12 2004.12 Winter
(論文) 「ツァータンのトナカイ管理と飼育方法 -ポスト社会主義時代への適応のために-」2008年 帯広大谷短期大学紀要45号



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