■■■ 多摩動物公園の見所 2013.5.4 ■■■

   オオカミ

以前はヨーロッパオオカミと書かれていた看板が、今度は一般的なタイリクオオカミ。ずいぶんとブロードな定義にしたものである。まあ、モンゴルとの友好に欧州の動物でもないから当然かも知れないが。

なんでも、家犬と豪州のディンゴを含め30を越える亜種が存在しているようで、その呼び方も色々ありそうなので、素人には実にわかりにくい。
タイリクオオカミには、ヨーロッパオオカミ、絶滅したニホンオオカミ、シベリアオオカミ、等を含めても一向にかまわない訳だろうが、やはり蒙古野馬に似つかわしいのは冷涼で乾燥しているステップオオカミだろう。それが、どの程度違う姿態かはわからないが、ウラル山脈の森の生息種と、中央アジアの平原で生きる群れが同じとは思えない。
そこで、以下のようにまとめてみた。
 ・ツンドラTundra ・ロシアRussian
 ・"大陸"Eurasian ・カスピCaspian Sea ・ステップ(中央アジア)
 ・蝦夷okkaido[絶滅] ・日本Honshu[絶滅]
 ・インドIndian
 ・アラビアArabian ・イタリアItalian ・エジプトEgyptian
 ---
 ・北極Arctic
 ・"森林"Mackenzie Valley[アラスカ+カナダ]
 ・グレートプレーンズGreat Plains  ・東部森林Eastern Timber Wolf  ・赤Red
 ・"タテガミ"Mexican
写真で見る限り、白色、灰色、褐色、茶色といった毛色の差ははっきりわかるし、体躯の大きさやバランスも微妙に違うようだから、様々なオオカミがいることになるが、ウエブリソーシスを眺めると表記が混乱している感じは否めない。どうせ混血だろうから、致し方ないとはいえ、褐色毛色の灰色狼というのはどうも違和感がありすぎる。亜種としての明確な区分は難しいのかも。

野生のオオカミは、順位の高いアルファオスとアルファメスを中心として、前年と前々年の子どもたちから成る、血縁で結びついた群れを作るのだそうだ。多摩動物園は ♂ロボ(2000年)と♀モロ(1998年)のファミリーだが、新施設では2つの群れが住めるようになっている。分割するということなのだろう。群れの頭数が多いと暇にあかせて順位争いばかりすることになるから、流血を伴う喧嘩シーンが減るなら結構な話。
  --- ♂ロボ(2000年)と♀モロ(1998年)の家族 ---
 2005年(♀ミロ、亡♂ポロ、<@浜松:亡ゾロ、亡ロコ、亡サン>)
 2006年(♀チロ、亡♂ロン)
 2007年(♂ロイ、♂ロト、♂セロ、♀マロ)
 2008年(♂ネロ、♂ロキ、♀メロ、♀リロ)
群れといっても、草食動物とは大違いで、個性が強く、互いの関係性をはっきりさせたいメンバーの集まりだから、群れ独自の文化ができていそう。ということで、2つの群れができて、それぞれ異なる雰囲気の狼社会を形成すれば観客にとっては面白いがどうなるか。

狼好きの方は、じっくりと社会観察するのが楽しみのようで、すべてのメンバーの名前がすぐにわかるようだ。よく見れば、顔はずいぶん違うから、覚える気になればそう難しくないのかも知れない。名前は「ロ」を入れた2文字に決めているようで、犬名のようで安直な感じがするが、考慮の結果かも。・・・
○シートン動物記の狼王ロボ
○宮崎駿の作品「もののけ姫」でもののけ姫を育ての親である犬神モロ
○クロトナのミロはオリンピア競技のレスリングの覇者。自慢の力で樹木を裂こうとして、手が抜けなくなり狼の餌食になる。
○姜戎[Hang Rong]の作品「狼図騰["Wolf Totem"]」[長江文芸出版社2004]は時代を画するものだった。・・・文化大革命時にモンゴル草原に送られた知識青年ロン。群れから弾かれた、一匹狼のつらさ。
○「Frankenstein meets the Wolfman/フランケンシュタインと狼男」(1943年)の監督はRoy William Neillだった。
まだまだありそう。

こんなこだわりがあるところを見ると、12頭それぞれにファンがついているのだろう。

(blog)
多摩動物公園・オオカミの個体紹介(全頭分) 今日ものんびり動物園 2011-12-16 13:49
(オオカミ亜種関係) Wiki日本語/英語はもちろんだが。
Lupine Evolution, Species, and Subspecies @ Wolfhowl.org
Wolf Species @ animalcorner.co.uk
(東京ズーネット)
ヨーロッパオオカミの名前決定! 2006/06/30



 多摩動物公園の見所−INDEX >>>    HOME>>>
 (C) 2013 RandDManagement.com