■■■ 多摩動物公園の見所 2013.5.12 ■■■

   ヒカリキノコバエ

多摩動物公園昆虫園本館には、オーストラリアやニュージーランドの洞窟に生息するヒカリキノコバエの幼虫が展示されている。もっとも名称は、通称の「グローワーム」の方である。

その名の通り、蝿の幼虫、要するに蛆と呼ばれている小さなイモ虫が、天井に張り付いて青白く発光するのである。小さな生物だから一匹ではお話にならないが、数が多いと満天の星空の一部を見ているかのように感じる。発光の原理は蛍と同じなのだろうが、その機能は全く違っていて、こちらは集餌灯となっている。光るが蛍とは違う訳だ。

それもその筈、この生物蝿なのだ。ただ、外見からすれば、蝿ではなく、どう考えても蚊そのもの。分類はよくわからん。
それはともかく、この蝿の幼虫の発光芸が見世物になっている訳だ。オーストラリアやニュージーランドではドル箱観光資源かも。

確かに、かくもか弱き生物が淡い光を出せることに、ヒトは勝手にえらく感動したりするもの。一方の幼虫にとっては、生きていく上の最重要な作業をしているにすぎないのだが。なにせ、天井から垂れ下がる粘着糸に餌となる虫がひっかからなければ飢え死間違いなしだから、必死で発光作業をしているに違いないのである。そんなことを知ると、なんとも、蜘蛛みたいな、不思議な幼虫だと語る方もおられるが、それよりは、こんな星のような弱い光に寄ってくる虫の生態の方が余程謎である。
ヒカリキノコバエと言う名前が付いているところを見ると、光茸に取り付く蝿だろうが、その発光茸に付く虫が餌ということかナ。さすれば、茸の擬態か。

見ている方は、そんな感慨にふけっていればよいだけだが、この展示には驚くべき労力が注がれているようだ。
この幼虫、体長僅か3ミリなのである。まともに飼育をしようとすれば、その一匹一匹に餌を与える必要がある。しかも、その住処たるや、とんでもなく湿度が高いらしい。そういうところでないと生きていけない虫なのである。おそらく、餌作りを考えると、ショウジョウバエを与えるのだと思うが、それこそ気が遠くなりそうな作業である。なにせ、その数たるや1000匹以上と言うのだから。
うーむ。凡人の怠け者には、1日たりとて勤まりそうもない仕事である。
飼育展示係の方は女性名だが、虫愛ずる姫君として育ってきた方かナ。

(東京ズーネット ニュース)
グローワームの今年の繁殖 2013/03/29  [幼虫写真掲載]
平日のグローワームの展示は午後3時半で終了 2009年11月20日 [写真掲載: 写真上は、暗闇の中で幻想的な光を放つグローワーム幼虫。写真下は、少し明るい場所で撮影したグローワーム幼虫。たくさんぶらさがっているのが幼虫の出した粘液の糸。幼虫は、水平方向にのびる、やや太い粘液につつまれています。青白い輝きが幼虫の放つ光です。}



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