■■■ 多摩動物公園の見所 2013.7.28 ■■■

   飼育動物に一番嫌われる生物、カラス

上野動物園ではプレーリードッグの赤ちゃんがさらわれたりしたそうだが、多摩動物公園は敷地が広いからその被害はもっと大きいだろう。

ケージ外で飼われている鳥など、まともに繁殖できまい。
鳥やプレーリードッグのように小さいからやられると高をくくっていると、大きい動物も殺られること間違いなし。対応が鈍い子供なら、後ろから回って下腹や肛門をしつように突付き、内臓を狙う。
動物園にいれば上質の餌がふんだんに出てくるから、多摩動物公園のカラスは丸々と太っているし、毛艶も一級。それなら食指が動く筈がなかろうとはならない。食欲があろうとなかろうと、それはなかば遊びでもある。それがカラスの習性。
従って、上等な食餌をカラスに横取りされないようにするにはどうすべきか、繁殖となれば、どうやってカラスの攻撃から守るかで、飼育員の方々は日々頭を悩まされているに違いない。

大型動物であっても、からかうのが大好きなカラスもいるから、背中に乗って嫌がらせをすることも多いし、巣作りの季節だと最高の素材ということで毛を抜きにかかる。飼育動物に一番嫌われていそうな生物なのである。もっとも、本来はヒトが一番の敵なのだが、飼われている以上そうもいくまい。

カラスを寄せ付けなくするには、猛禽類を放すしかないが、群れで防御するから効果も限定的。それに繁殖中に巣を襲うことで、シマから手を引けとの脅しをかける連中である。なにせ、子育て中だと、巣の傍を通りかかるヒトにも襲いかかるのだから、こんなことは朝飯前。

・・・といったカラスを嫌うことをつらつら書いたりすると猛然と反撃されるのがヒトの社会である。
世の中、カラス好きは少なくないからでもある。ゴミを漁られ困り果てている都会であっても、それはヒトがゴミを出すのが悪いとされる。
おそらく、大量捕獲で対応していると思われるが、数は減少との宣伝文句だけで、鳩同様に、そこらじゅうで我が物顔で動き回っているのが現実。捕殺反対派が少なくないのだから、当然のなりゆき。
その皺寄せが動物園にくることになる。

こんな風土になっているのは、古代の鳥信仰の伝統とか、それを忘れずにということでマスコットにする国だからということでもなかろう。カラスを目の敵にした国粋主義的な都知事もいたのだから。
普通に考えれば、欧米流思想の単なる真似。次のビデオはBBCの番組のようだが、眺めればその心情が多少はわかるだろう。小生には、Bird Sanctuary構築というより、一種のペット飼育に映ってしまうが。(6分弱)
  → "Mystic" the Raven + "The Raven Haven Bird Sanctuary" UK.
尚、Ravenとはオオガラス。(末尾に日本で見かける烏を記載しておいた。)

まあ、カラスを護ろうという気分になるも無理はない。カラスはヒトと一緒にずっと暮らしてきた動物なのだから。
なにせ、野生の子烏がやって来て、一時間も鳴き続け、刺さった棘を抜いてくれとせがむこともあるらしい。
  → Raven Rescue (Crow)
野生の熊も同じようなことが言えそう。しかし、日本でそんな姿勢を是とみなす訳にはいくまい。

(動物園のカラス被害の例)
ズー・エクスプレス No.27 - Sep 28, 2001 上野動物園 動物園の憎まれカラスたち
(カラス分類-日本で見かける烏)
都会の主流派:ハシブトガラス (Large‐billed Crow)
非主流派:ハシボソガラス (Carrion Crow)
欧米の大烏:Raven
 =小規模渡り鳥[北海道]:ワタリガラス
非日本的な他の渡り鳥
 小型の大集団: ミヤマガラス(Rook)
 極めてマイナー: ニシコクマルガラス (Jackdaw)

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