表紙
目次

■■■ 上野動物園の見所 ■■■
2014.6.21


マヌルの気品

上野動物園のマヌルネコ君に時々お会いしに行くが、ガラスの前でしばし観察する人は稀なようだ。小生の印象からすると、眺める人の9割以上が30秒もかけずに通りすぎて行く。
斜め向かいの、ミーアキャットとは大違い。
そちらでは、子供だけでなく大人までもが、大いにはしゃいだりすることが多い。どうしてそこまで差がでるのか不思議。

観客の大半は「アッ、猫がいる。」という単純な反応。珍しくもないナと感じて、すぐに次の動物を見に行こうとなるようだ。
小生は顔つきだけでも、かなりの違いを感じるが。・・・
  イエネコ ΔΦ)Δ  マヌルネコ (◎ω◎)

もっとも、違いを感じ取っていない訳ではなく、受け取り方が異なるのかも知れぬ。
顔を覗き込んで、「悪ソウ、・・・。」と言う人も少なくないからだ。ここらが、人気が出ない理由か。

マヌル君は、ずんぐりむっくりに見えるから、小さな頭に柔らかくて伸びる体とは程遠い。しかし、メタボ体型のイエ猫でも愛されるのだから、それがイメージを悪くしている訳ではないだろう。そうなると、丸い瞳の上目づかいがえらく気になるということか。
でも、そこがいかにもマヌルらしさ。
目線が合った瞬間、天井を見上げたりする。これは避けたのではなく、気になる音かなにかが動いたのである。野生ならではの感度の高さがあり、しかも好奇心旺盛なのだ。
視線が合って、ヒトに関心が生まれると、すぐには動かないが、大きな臀部がモソモソしてきて、尻尾がピクピク動き始める。サア、どうしてやるかと考えているのだと思われる。
一方、面白くないと、ソッポを向く。チラチラ見られるのが不快だと、巣穴に入ったり。でも、つまらないから、暫くすると出てくるが、まだいることがわかると、再度入ったり。結構、おだやかな性分である。

細かく見ると、イエネコとの違いは少なくない。以下の特徴がマヌルにも通用するか、じっくり眺めると、面白い。
 眉の存在を感じさせる。
  ヒトの三日月型を彷彿させる。
 見つめる目を思わず眺めてしまう。
  つり目気味で黒目縦瞳である。
 耳は頭の上に立っている。
  幅が広く結構大きい。
 口や鼻もそれなりに目につく。
  どうしても鼻筋が目立つ。
 歯は小さく尖っている。
  犬歯型がずらっと並んでいる。


姿をじっくり眺めようとはせず、表示を見て、その名前を声に出して読んで見物終了の方多し。
全く知られていない名前のようだから、関心が薄いのも致し方なしか。

一方、開口一番、「可愛い」と評価する人もいる。幼稚園児からお年寄りまで、色々だが、全体の3分の1位か。なかには、別れ際に、「飼いたいぃー。」というお方も。イエ猫とたいして変わらぬとの印象を持つのだろう。

残りは、ガラスの前をサッサと通過していく人達。
マヌル君の存在に気付いていない可能性も。と言うのは、目の前の模造岩の上で丸くなって寝ているのにもかかわらず、「いないネ。」と言って去っていく人が、少なからず存在するからだ。マヌルネコ空蝉の術にかかってしまうようだ。

小生は格段の猫好きではないが、雪豹君とマヌル猫君のファンである。野生動物としての誇りを捨てることはないゾという気迫を感じさせるからだ。一種の気品が漂っていると言ってもよかろう。
いわば、孤高の猫である。

実は、そんな印象を持ったのは、両者ともに高地ブータンの、熊が住む森のなかで生活していることを知ったからでもある。(わざわざ、ヒトが仕掛けた自動カメラを見にやってくる動物は、マヌルしかいまい。)
アッサム辺りの森の猫族とは一線を画すのである。(トラ.ヒョウ.ウンピョウ.ゴールデンキャット.ジャングルキャット.マーブルキャット.ベンガルヤマネコの7種・・・上野動物園ではベンガルヤマネコ、井の頭公園ではその亜種とされる対馬ヤマネコ・アムールヤマネコが飼育されている。)

まあ、寝ていることが多いので、置かれている毛皮のかたまりを見るだけに終わるから、会いに行こうという人が少ないのはわかるが、その寝姿を見るのも悪くない。
寝るに当たっては、マヌルマナーがありそうなので。

先ずは、おもむろに、犬座り。そして、そこからもぞもぞして足の位置を決める。次に、尻尾を前に回す。尻尾の形にえらく拘りがあるようで、細かな調整を行う。そして、再び足の位置直し。
しかして、ようやく、頭を入れることができる体勢が整うのだ。そこから寝る体勢に。全体が丸まってくるのである。そこで、初めて、このネコは毛で膨れているから大きく見えるが、実際は小さなネコであることがわかってくる。

↓ 【ご注意】間違った情報が含まれている可能性あり。
─・─・─ 日本で飼育中のマヌルネコ ─・─・─
<埼玉県こども動物自然公園 [東松山市]>
 ♂オスカー(@ロッテルダム動物園2006)
 +
 ♀タビー(@上野動物園2008)
 ↓
 【2014】4頭
 【2012】♀ハニー・・・移動 (2頭死亡)
 ♂セバスチャン(@上野動物園2004)
 ♀マリィ(@ロッテルダム動物園2006)
<上野動物園>
 故♂バヤル(from:青海省)
 +
 故♀ララー(from:東山動植物園)
 ↓
 【2010】♂ドロー、♂ナイマ、♀ユス
 【2008】♀タビー・・・移動
 【2007】♀ペッキー・・・移動
 【2004】♂シルヴィ・・・移動、♂セバスチャン・・・移動
<東山動植物園>
 故♂十兵衛
 ♀ハニー(@埼玉県こども動物自然公園2012)
<神戸王子動物園>
 ♂エモン
 ♀ペッキー(@上野動物園2007)

(コメント)
埼玉県こども動物自然公園は駅から歩く道が人工的な感じで、小生の好みとは違うので1回行ったきり。・・・その時の、眼つきからの印象でしかないが、見物人慣れしていない感じがした。幼児や児童の団体の目に晒される一方で、外が全く見えない上野の生活者とは反応が全く違うということか。


(記事)
「同じ森にネコ科7種」 National Geographic News March 15, 2010
Sneaky Cat Caught on Camera in Himalayas By Live Science Staff October 29, 2012 11:32am ET http://www.livescience.com/24369-sneaky-cat-caught-on-camera-in-himalayas.html


 動物園の見所−INDEX >>>    HOME>>>
 (C) 2014 RandDManagement.com